SIMフリーとは?

SIMフリー(シムフリー)とは、特定の通信事業者(通信キャリア)しか使えない「SIMロック」がかかっていない状態を指します。
このSIMにロックがかかっていないスマホが「SIMフリースマホ」です。

SIMフリースマホを使えば、NTTドコモやソフトバンク、KDDIなどの大手通信事業者(MNO)よりも通信料の安い事業者のサービスを利用することができるため、「格安SIM」とも呼ばれます。

そして、SIMフリー用のサービスを提供しているのがMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる通信事業者です。

ここでは、MVNOとはなにか、なぜ安くサービスを提供できるかなどについて紹介します。

スマホやケータイの通信事業者は2種類ある

まず、スマホやケータイの通信事業者について、おさらいしておきましょう。

スマホやケータイで電話をかけたり、インターネットに接続して情報を入手したりするには、通信事業者との契約が必要になります。

通信事業者には、次の2種類があります。

  自社で通信に必要な通信設備を持っている通信事業者
例:NTTドコモ、ソフトバンク(ワイモバイル)、KDDI(au、UQモバイル)、楽天モバイル
  他社(①)から通信設備を借りてサービスを提供する通信事業者
例:IIJmio、OCNモバイルONE、イオンモバイル、mineoなど

ケータイやスマホなどの移動体通信では、①をMNO(移動体通信事業者)※1、②をMVNO(仮想移動体通信事業者)※2と呼びます。

MVNOは、自前の回線を持っていないから「仮想」なのですね。

例にも記しましたが、NTTドコモやソフトバンク、KDDI、楽天モバイルは、MNOになります。

楽天モバイルは、2020年4月8日からMNO(自社回線)サービスを開始しており、MNO開始前に開始しているMVNOサービスも継続しています(新規MVNO受付は終了)。

※1 MNO:Mobile Network Operatorの略。

※2 MVNO:Mobile Virtual Network Operatorの略。

MNO(移動体通信事業者)とMVNO(仮想移動体通信事業者)

MVNOと「格安SIM」「SIMフリースマホ」「格安スマホ」のカンケイは?

MVNOの一番大きな特長は、「通信料金の安さ」にあります。
その代名詞として使われている言葉が「格安SIM」です。

スマホやケータイは、SIM(シム)というICチップカードを使って電話をかけたりインターネットに接続したりするので、「安価なモバイル通信ができるSIMカードを提供している」、略して「格安SIM」というわけですね。

MVNOと「格安SIM」「SIMフリースマホ」「格安スマホ」のカンケイ

また、大手通信事業者(キャリア)が発売するスマホは、最新のCPUや新しい機能を搭載した最先端のものが多く、パソコン並みに高機能なことから価格も10万円超えも珍しくありません。

しかし、最先端のスマホよりも基本性能が充実した使い勝手のよいスマホがほしいという声も多いことから、MVNOでは格安の通信サービスといっしょに、日常使いに十分なスペックを備えた価格の安いスマホ、「格安スマホ」を用意しました。

こうしたことから、MVNOのサービスも合わせて「格安スマホ」と呼ばれるようになりました。

MVNOの通信料金が安いのはなぜ?

それではなぜ、MVNOは安い通信料金でサービスを提供できるのでしょうか。
その理由は、次の3つが挙げられます。

自社で通信設備を持たないので、メンテナンスなどのコストがかからない
実店舗を持たない、持っても少ないなどから維持費などのコストがかからない
通信速度やデータ通信量を制限することでコストを下げられる

このように、MVNOは大手通信キャリアと比べて、幅広いニーズに応えつつ安価でサービスを提供することが可能になっています。

安価ですが、大手通信キャリアの通信設備を利用しているので安心です。

契約方法は3つ

MVNOは、概ね以下の3つの契約方法があります。

契約方法 内容
❶ オンラインによる契約 オンラインによる契約です。
インターネットに接続できるパソコンやスマホが必要です。
❷ 量販店での購入 量販店でSIMカードを購入し、インターネットや電話などで契約申し込みを行います。
❸ MVNOの実店舗での契約 実店舗展開しているMVNOは、大手通信キャリアと同様、対面で申し込みが可能です。

契約したいMVNOがどのような方法で申し込みを受け付けているのか、あらかじめ確認しておきましょう。

MVNOサービスを使うための具体的な手順については、「SIMフリースマホを使うには」を参照してください。

また、AQUOSの製品ラインアップは、「SIMフリーモデル スペシャルサイト」をご覧ください。

SIMフリースマホが生まれたワケ―通信の自由化

自前の回線を持たない事業者が通信事業に参入し、安価でサービスを提供できるようになった理由には、「通信の自由化」があります。

1985年に通信事業が民営化され、通信設備を持つ大手通信キャリアは、その設備を開放することが義務付けられました。
それまでは国内通話は日本電電公社(NTTの前身)、海外通話はKDD(KDDIの前身)と2社の独占でしたが、通信の自由化によって、たとえば小売事業など通信事業とは関係がない企業も新たにMVNOとして参入が可能になりました。

携帯電話の普及により、MVNO事業に参入する企業は増え、2022年12月時点で、MVNO事業者は第一次MVNOから回線を借りる第二次MVNOなども合わせると1732社、契約数は2875万件あります(総務省調べ)※。

※ MNOが提供するMVNOサービスは除く。

MVNO契約数の推移
【資料】総務省の「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表
(令和4年度第3四半期(12月末))」より

MVNOとオンライン専用プラン、楽天モバイルとの違い

MVNOと同じように安価な通信サービスに、大手通信キャリアのオンライン専用プランと楽天モバイルのサービスがあります。

オンライン専用プランは、大手通信キャリア3社が2021年3月に開始したサービスで、NTTドコモの「ahamo」(アハモ)、ソフトバンクの「LINEMO」(ラインモ)、au(KDDI)の「povo」(ポヴォ)があります。

3社とも契約をオンラインに限定することで、データ量20GBを月額3000円以下という通常プランよりも安価なサービスを提供しています(詳細はコラム「大手キャリアのオンライン専用新サービスへの乗り換え時の注意」を参照)。

そして、2020年から第4のキャリアになった楽天モバイルは、サービス開始当初から、通常プランとして月額2980円でデータ使い放題プランのみを提供しています。

これらサービスとMVNOの格安SIMサービスには、おもに次のような違いがあります。

MVNOはMNOの回線を借りているが、MNOの格安サービスは自社回線を使用
通信キャリアを変更しない(MNPしない)のなら、SIMロック解除は不要

MVNOは大手通信キャリアから回線を借りているため、時間帯などの条件によっては通信速度が極端に遅くなることがありますが、楽天モバイルを含めた大手通信キャリアの格安プランは自社回線なので安定して使用できます。

また、2021年10月以前にキャリアで購入したスマホには、他社のSIMカードが使えないように「SIMロック」がかかっていました。
こうしたスマホでもMNP(ナンバーポータビリティ)をしないのであれば、SIMロックの解除をせずにそのまま継続して使用できます。

たとえば、これまでNTTドコモの通常プランを使用していて、NTTドコモのahamo(アハモ)に切り替える場合などは、SIMロックの解除は必要ありません。

なお、具体的なSIMロックの解除については、「SIMロックを確認・解除をするには」を参照してください。

格安SIMを使うには周波数帯とSIMロックに注意

大手通信キャリア(MNO)経由で購入したスマホは、通信キャリアによって使用できる周波数帯が異なります。

また、スマホを購入した時期によっては、他社のSIMカードが使えないようにロックがかかっていることがあります。これが「SIMロック」です。

大手通信キャリアの周波数帯に注意!

手元にあるスマホで格安SIMサービスを使用したい場合(SIMカードだけ契約したい場合)、スマホで利用できる周波数帯(バンド)に対応したMVNOを選択する必要があります。

たとえば、NTTドコモで購入したスマホは、SIMロックを解除しても、KDDI(au)系SIMカードは使用できません。

NTTドコモとKDDI(au)では、通信で使用している周波数帯が異なるからです。

つまり、スマホ本体の周波数帯に対応しているMVNOを選ばないと、SIMフリーであっても通話や通信ができないのです(できる場合もありますが、制限がかかります)。

NTTドコモで購入したスマホであれば、NTTドコモ対応MVNOから条件にあったところを選択すればいいでしょう。

MVNO各社は、自社が対応するスマホの一覧をWebサイトなどに掲載しているので、あらかじめ確認しておきましょう。

なお、大手通信キャリア4社が対応している周波数帯や、大手通信キャリア経由で購入したスマホ(キャリアプラン)の周波数帯の調べ方については、「<コラム>周波数帯(バンド)を確認するには」を参照してください。

SIMロック解除の義務化

先にも少し触れたように、2021年10月以前は、各通信キャリアがスマホにSIMロックをかけていたので、他社のSIMカードでは通信ができないようになっていました。

SIMロックがかかったままでは、スマホの通信契約を解除しても別のMVNOで使うことはできません(スマホによっては、通信キャリアと同じ系列のMVNOの場合、SIMロック解除しなくても利用できる場合もある)。

しかし、世界市場では、ケータイやスマホは、好きな会社のSIMカードを使うことができる「SIMフリー」が一般的なので、日本でもSIMフリー化が課題になっていました。

総務省は「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定、2015年5月よりSIMロック解除の義務化が開始されました。

これにより、大手通信キャリア(MNO)経由で購入したケータイやスマホは、ユーザーの求めに応じてロックを解除でき、MVNOのSIMカードでも使えるようになりました。

SIMロック解除義務化以前にMNOで購入したスマホをMVNOで使用したい場合は、契約しているMNOに依頼することで、SIMロックを解除することができます。

なお、さらに他社への乗り換えをしやすくするため、2021年10月以降に発売されるスマホでは、原則SIMロックは禁止されています。

したがって、2021年10月以降に発売のスマホの場合は、同じ周波数帯に対応しているMVNOであればそのまま使用できます。

SIMロックの確認方法や解除の方法については、「SIMロックを確認・解除をするには」を参照してください。

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