「新しいスマホに機種変更する前に」でも説明しましたが、同じAndroid(アンドロイド)スマホ同士であっても、利用しているサービスやアプリによって、データの移し方は異なります。
ここでは、必ずやっておきたいデータの移行方法をデータの種類別に紹介します。
なお、AQUOSの最新機種であれば、元のスマホとUSBケーブルで直接つないでデータを一括でコピーすることができます(詳細は「AQUOSへの移行ツール「かんたんデータコピー」を使おう」を参照)。
また、Googleフォトは、これまで容量無制限でバックアップが可能でしたが、2021年6月より無料で利用できる容量は最大で15GBに変更されました。
GmailやGoogleカレンダーなど、Google関連アプリのデータは、同じGoogleアカウントを設定することで簡単に新しいスマホにデータを移すことができます。
このしくみを「同期」といいます。
この機能を利用するには、事前に同期したいサービスを設定しておく必要があります。
元のスマホのアプリの一覧画面から「設定」→「アカウント」をタップして開き、アカウント画面の「Google」をタップします(画面上)。
Googleアカウントの一覧が表示された場合は、目的のアカウントをタップします。
同期対象のサービス一覧が表示されるので、同期したいサービスをタップしてオンにします(画面下)。これで設定は完了です。
なお、ここに表示されるサービスは、Androidのバージョンによって異なります。
元のスマホの設定が完了したので、新しいスマホで確認してみましょう。
初期設定で元のスマホと同じGoogleアカウントの設定が済んでいれば、データはすぐに確認できます。
たとえば、カレンダーを起動すると、元のスマホのカレンダーで記入した予定が復元されているのが確認できます。
Android6以降から、「設定」→「バックアップとリセット」の設定を有効にすると、1アプリにつき25MBという条件付きですが、インストールしたアプリやアプリデータ、通話履歴、スマホの設定などのバックアップが可能になりました。
「データのバックアップ」をタップしてオンに設定します。
これでGoogleドライブに自動的にバックアップされ、新しいスマホにアプリを再インストールするときにアプリデータも自動的に復元されます(画面例はAndroid7.1のAQUOS R SH-03J)。
この設定項目はAndroid4から用意されていますが、この機能でバックアップできるアプリデータはスマホによって異なり、バックアップできない場合もあるので、注意が必要です。
ほかのバックアップサービスと併用するようにしましょう。
また、バックアップしたデータは2週間使用しないでいると、2カ月で削除されます。
通信事業者のサービスは、解約しない限り継続して利用できます。
機種変更で通信事業者を変更しない場合は、通信事業者が提供するバックアップサービスが便利です。
機種変更しなくても、なんらかのトラブルでスマホが故障したり壊れてしまったときに、電話帳やメールなど大事なデータを簡単に復元することもできます。
代表的な通信事業者のサービスには次のようなものがあり、専用のアプリも用意されているので簡単に使うことができます。
なお、スマホの種類によって利用できるサービスが異なります。
詳細は、各通信事業者の公式サイトで確認してください。
キャリア | サービス名 | おもなサービスの内容 |
---|---|---|
ドコモ | ドコモクラウド | 電話帳、ドコモメール、スケジュール&メモ、写真データ保管BOXなどをドコモのサーバーにバックアップ(月額利用料は無料 ※1)。 パソコンからもアクセス可能 |
ドコモデータコピー | 電話帳、+メッセージ、メール、写真や動画、音楽、通話履歴などのデータをmicroSDカードにバックアップ ※2。 | |
ソフトバンク | あんしんバックアップ | 電話帳、S!メール、カレンダー、発着信履歴、写真、音楽、動画などをソフトバンクのサーバーやSDカードにバックアップ(月額使用料は無料) |
au | データお預かり | アドレス帳や発着信履歴、メール、+メッセージ、写真、動画、カレンダー、パスワード情報などをauのサーバー(クラウド)やSDカードにバックアップ(サーバー保存は1GBまで無料) |
スマホ内データをドコモのサーバー(クラウド)にバックアップできるサービスです。
スマホの「ドコモクラウド」フォルダーの「ドコモ設定」→「ドコモクラウド」をタップすると、バックアップしたいデータの同期・非同期を選択できます。
なお、+メッセージや通話履歴などは対象外なので、これらのデータのバックアップが必要なときは、「ドコモデータコピー」を利用しましょう(コラム参照)。
ドコモのスマホにプリインストールされているバックアップアプリです。
「ドコモクラウド」でバックアップされないデータを保存したいときにも利用できます。
ドコモのスマホを機種変更する場合にデータを移せる「データ移行」とデータの種類ごとにバックアップや復元ができる「バックアップ&復元」の2つの機能があります。
なお、バックアップアプリが「ドコモバックアップ」になっている場合は、これをアップデートすることで「ドコモデータコピー」を利用できるようになります。
ソフトバンクのスマホにプリンストールされているバックアップアプリです。
microSDカードやスマホ本体に必要なデータをバックアップすることができます。
3Gケータイの電話帳もあらかじめサーバーに保存しておけば、このアプリでスマホに移すことができます。
auのスマホにプリインストールされているバックアップアプリです。
auのスマホ同士の機種変更で利用できるデータ移行メニューも用意されています。
スマホのメーカーも、データの移行ツールを用意しているところもあります。
場合によっては、元のスマホも新しいスマホも同じメーカーが条件ということもあります。
機種変更時、メーカー製の移行ツールがあるかを確認してみましょう。
たとえばシャープの場合、2021年2月発売のドコモ AQUOS sense5GからUSBケーブルの直接接続による「かんたんデータコピー」が利用できるようになりました。
「かんたんデータコピー」は、iOS8以上、Android 5.0以上に対応しています。
ここではAQUOS R SH-03JからAQUOS sense5G SH-53Aを例にデータを移してみましょう。
「かんたんデータコピー」で移せるデータには、次の表のようなものがあります(ただし、通信事業者や機種によっては移行できないデータもあります)。
SMS | Googleの「+メッセージ」などで表示できる |
---|---|
発着信履歴 | 「電話」アプリの履歴に保存される |
電話帳 | 「連絡先」アプリに保存される |
カレンダー | Googleアカウントが必要 |
Music | 内部共有ストレージの「Music」フォルダーに保存される |
写真・動画 | 内部共有ストレージの「DCIM」フォルダーに保存される |
壁紙 | シャープのプリインストールの壁紙は移行できない |
Wi-Fi設定 | Wi-Fi設定のみ。パスワードは再入力が必要 |
Googleアカウント | 設定しているGoogleアカウントの情報を移すことができる |
アプリ | インストール済みのアプリを移すことができる |
なお、ここで対象になるデータは、microSDカードに保存されたものも対象になります。
microSDカードが利用できる機種でそこにデータを保存している場合、microSDカード内のデータは、新しいスマホの内部共有ストレージにコピーされます。
新しいスマホのmicroSDカードにコピーされるわけではないので、注意しましょう。
microSDカードのデータをコピーしたくない場合は、操作の前にmicroSDカードを元のスマホから抜いておきましょう。
「かんたんデータ移行」は、新旧のスマホをUSBケーブルで接続して行います。
事前に元のスマホで使用しているUSBケーブルと、AQUOS sense5G SH-53Aに同梱のクイックスイッチアダプターを用意しておきましょう。
アダプターについて
2021年2月発売のAQUOS sense 5G以降に同梱のクイックスイッチアダプターは、市販のUSB変換アダプターで代用が可能です。
アダプターがない場合は、USB Standard-AメスとUSB Type-Cオスの変換アダプターを用意してください。
また、「かんたんデータ移行」は、AQUOS sense5G SH-53Aのセットアップ時に行います。
セットアップを済ましたあとにこの方法で元のスマホのデータを移したい場合は、一度、リセットして工場出荷時状態に戻す必要があります(コラム参照)。
また、データの移行中に画面にロックがかかると操作が中断するので、あらかじめ元のスマホとAQUOS sense5G SH-53Aのスリープになる時間を延ばしておきましょう。
AQUOS R SH-03Jは「設定」→「ディスプレイ」の「スリープ」で、AQUOS sense5G SH-53Aは、「設定」→「ディスプレイ」→「画面消灯(スリープ)」で変更できます。
スマホ内のデータを削除して工場出荷時状態に戻すには、「設定」→「システム」→「詳細設定」→「リセットオプション」で「すべてのデータを消去(出荷時リセット)」を選択します。
この操作ではすべてのデータが削除されて初期化されるので、注意してください。
それでは、実際にデータを移してみましょう。
移行先のAQUOS sense5G SH-53Aの電源を入れます。
「ようこそ」画面が表示されたら「開始」をタップします。
次の画面でWi-Fiの設定を済ませてください。
「アプリとデータのコピー」画面が表示されたら、「次へ」をタップします。
なお、画面にダウンロードフォルダーが表示された場合は、画面左下の←アイコンで戻ると「アプリとデータのコピー」画面が表示されます。
画面の指示に従って古いスマホ(ここではAQUOS R SH-03J)にUSBケーブルを接続し、新しいスマホ(ここではAQUOS sense5G SH-53A)にアダプターをつけたUSBケーブルを接続します。
元のスマホの画面に「新しいスマートフォンにデータをコピーしますか?」というメッセージが表示されるので、「コピー」をタップします。
ロックの解除の指示が表示されたら設定している方法(ここではロックNo.)でロックを解除します。
新しいスマホにGoogleアカウントでのログイン画面が表示されるので、パスワードを入力して「ログイン」をタップします。
すると、データのコピーの準備が始まります。
コピーの準備が済むと、コピー項目の選択画面が表示されます。
初期状態ではすべてのデータにチェックが入っているので、不要なデータはタップしてチェックを外してください。
選択が済んだら「コピー」をタップします。コピーが開始されます。
データのコピーの最中に、新しいスマホのセットアップも同時に行われますので、適宜、操作してセットアップも済ませてください(元のスマホ画面にセットアップを続ける旨、メッセージが表示されます)。
コピーが完了してケーブルが外せる旨のメッセージが表示されたら「完了」をタップします。
これでコピーは完了です。ケーブルを外しましょう。
元のスマホの画面にもコピーが完了した旨のメッセージが表示されますので、「閉じる」をタップします。
元のスマホのデータが新しいスマホにコピーされているかを確認してみましょう。
画面例では音楽データと写真を確認してみました。
データの種類ごとに複数のバックアップを行うのが面倒な場合は、バックアップ専用のアプリを利用するという方法もあります。
Google Playストアには実に多くのバックアップ専用アプリが配布されているので、評判を確認してから好みのものを利用すればいいでしょう。
たとえば、画面例の「JSバックアップ」(提供:情報スペース)は、連絡先や通話履歴、カレンダーなどのほか、写真や文書データなどもまとめてバックアップして、新しいスマホに移すことができます(無料)。
もちろん、バックアップしたいデータの選択も可能です。
データの種類 | 内容 |
---|---|
標準バックアップデータ | 連絡先、通話履歴、SMS、MMS、カレンダー、ブックマーク、システム、辞書、カレンダー、ミュージックプレイリスト、アプリ一覧 |
メディアデータ | 画像、音楽、動画、文書、ジョルテのデータ |
なお、具体的な使い方などについては、公式サイトを参照してください。
※バックアップ先とバックアップしたいデータを選択したい場合は、「バックアップ」画面で画面右上の歯車アイコンをタップし、設定画面で指定する。
ここまでで紹介したデータの移行方法では元のスマホにインストールしていたアプリの情報もコピーできるものもあるので、新しいスマホに自動的に再インストールされますが、手動で新しいスマホに再インストールする場合は、Google Playストアの「マイアプリ&ゲーム」を利用すると便利です。
ここには、インストール済みのアプリと、これまでインストールしたことがあるアプリの一覧が表示されます。
プロフィール写真をタップして表示されるメニューから「マイアプリ&ゲーム」の「ライブラリ」をタップし、必要なアプリを選択して再インストールします。
機種変更を終えて、新しいスマホでデータの移行を確認したら、元のスマホはリセットして内容を削除しておきましょう。
スマートフォンは個人情報のかたまりなので、そのまま放置しておかないようにしましょう。
リセット機能は、「設定」画面の「バックアップとリセット」や「プライバシーの設定」などに用意されています。