適切なモバイル端末管理がされないと、ウィルス感染などさまざまなリスクが発生します。本記事では、端末管理がされない場合のリスク、MDM(モバイル端末管理ツール)を導入することのメリット・注意点について詳しく解説します。
公開:2025.01.15 / 更新:2025.01.15
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端末管理がされていない場合のリスク
端末の管理が適切にされていないとさまざまなリスクが高まります。上記の、よくあるリスクについて詳しく解説します。
情報漏洩のリスク
社内端末が適切に管理されておらず、状況の把握ができていない場合、情報漏洩のリスクが高まります。特に、社外に端末を持ち出した際の紛失や、盗難時に迅速な対応ができません。スマホやタブレットは持ち出すことが多く、危険性がさらに大きくなります。
第三者がそのデバイスを取得し内部情報にアクセスする危険性もあり、情報漏洩の検知が困難です。顧客情報などの個人情報が流出すると、会社全体の社会的責任が問われることにもつながります。
これらのリスクを軽減するためには、厳密な管理と迅速な対応体制が不可欠です。
マルウェアなどウィルス感染のリスク
端末の管理が適切に行われず、使用者各人に委ねられると、マルウェアなどウィルス感染のリスクが高まります。各端末が個人の管理下にあるため、アップデートやセキュリティ対策も各自で設定する必要があります。しかし、適切な端末管理を怠ると、感染の危険性が増大し、個人情報の漏洩やデバイスの不正操作、ネットワーク全体への感染拡大など深刻な被害が発生しかねません。
このため、適切な管理体制を整えることが重要です。
コンプライアンス違反のリスク
業務と無関係な形で端末が私的利用されると、コンプライアンス違反になる恐れがあります。社員の違法サイトへのアクセスやソフトウェアのダウンロード、海外通販サイトでの買い物などでトラブルに巻き込まれる危険性があるためです。コンプライス違反が発覚すると、企業の信用やブランド価値が低下し、顧客や取引先からの信頼が失われてしまいます。
企業は、会社用端末管理を強化し、コンプライアンスを確保するための適切な対策を講じる必要があります。
端末の形骸化によりコストが増大するリスク
会社内の端末の利用状況を把握できていないと、放置された端末が形骸化し、コストが増大するリスクがあります。会社内での多種多様なデバイスの利用が拡大するなか、端末の管理が複雑化し、管理者の業務負担も見過ごせません。端末の使用状況を管理できないと、二重購入や無駄な使用料の発生がしやすくなります。
そのため、会社内の端末の正確な把握と一元管理が必須です。包括的な管理により、コスト削減と効率的な運用が実現できます。
端末管理にはMDMの導入がおすすめ
企業の適切な端末管理には、MDM(モバイルデバイス管理)ツールの利用がおすすめです。MDMとは、企業が業務で使用するモバイルデバイス(スマホ、タブレット、ノートパソコンなど)を一元管理する仕組みです。
端末管理を行わないと、企業には多くのリスクが生じます。セキュリティ対策が適切でない業務端末は、サイバー攻撃やマルウェア感染など多くの危険にさらされていることを認識することが重要です。
MDMの導入により、業務端末の可視化や監視ができるため、アプリの利用制限や業務データへのアクセスの管理も可能です。また、遠隔操作もできるため、紛失や盗難時に遠隔ロックや情報削除を行うことで情報流出を防止します。
特に、テレワークが普及する現代において、MDMの重要性はますます高まっているといえます。
端末管理にMDMを導入するメリット
MDMの導入には、上記のような大きなメリットがあります。
管理の工数やコスト削減になる
MDMの導入により端末管理が一元化され、管理にかかる工数の削減が可能です。会社内のデバイスの種類数も正確に把握するため、類似製品を追加購入する必要性を判断できコスト削減にもつながります。
企業内の業務パソコンやスマホなど多種多様な端末をエクセルなどで管理することは、管理者にとって多大な負担です。しかし、MDM導入により、端末のアップデートやアプリの配布を一括で行えるため、個別の端末を管理する手間が省け、管理業務が大幅に効率化されます。
セキュリティ対策になる
MDMにはさまざまな機能があり、セキュリティ機能も豊富です。移動中や出先の業務で端末を紛失した場合でも、遠隔操作でデバイスの画面ロックやデータ削除ができるため機密情報の保護が行えます。さらに、GPS搭載端末なら位置情報を取得し端末の現在場所を特定できるため、迅速な対応が可能です。
また、企業のセキュリティポリシーに沿ったWi-Fiのみを許可し、フリースポットなどでの接続を自動制御することで情報流出を阻止します。このようなMDMの機能により、企業のセキュリティ対策が大幅に向上します。
端末の不正利用を防げる
MDMには、使用サイトを制限するフィルタリング機能があり、端末の不正利用防止になります。社員が業務用端末を業務外で使用する場合、ウィルス感染などトラブルが発生しかねません。
MDMのなかにはソフトウェアの利用制限を設定できるものもあり、企業が許可していないシャドーITの抑制に役立ちます。特に、リモートワークや社員の個人端末を利用するBYODが普及するなかで、端末の一括管理で不正利用を防ぐことはますます重要になっています。
端末管理にMDMを導入する時の注意点
- ・使用する端末に対応しているか確認する
- ・100%セキュリティ対策ができるわけではない
- ・管理する範囲や利用目的を適正に定める
- ・サポート体制を確認しておく
- ・導入に手間や環境の見直しが必要になることがある
MDMを導入する際には上記のような点に注意しましょう。細かい注意点について、1つずつ詳しく解説します。
使用する端末に対応しているか確認する
MDMを導入する際、利用しているOSに対応しているかが非常に大切です。OSには、パソコンで使われるWindowsやMacOS、ChromeOS、スマホで使われるAndroidやiOSなどさまざまな種類があり、操作や管理の仕方が異なります。複数のOSに対応しているMDMツールであれば、WindowsやAndroid、iPhoneなどさまざまな端末を一元的に管理できるためおすすめです。自社のOS使用状況を把握し、MDMツールを選択しましょう。
100%セキュリティ対策ができるわけではない
MDMの導入によりセキュリティ対策が強化されますが、100%のセキュリティ対策が保証されるわけではありません。遠隔でデータのロックや削除を行う際には、時差が生じることや、圏外や電源オフの状態では対応ができない場合があります。
これを踏まえ、MDMはあくまでセキュリティ対策の一環として認識しておくことが重要です。また、社員教育を通じてセキュリティ意識の向上を図ることも必要になります。
管理する範囲や利用目的を適正に定める
MDM導入時における社内の混乱を防ぐためには、管理する範囲や利用目的を適正に定めることが重要です。まずはスモールスタートがおすすめです。MDMはデバイスに対して多くの制限をかけられますが、制限範囲をあまりに厳格にすると業務効率や利便性が低下することもあります。
「BYODを導入したい」「リモートワークの管理対応を進めたい」「端末以外のファイルやアプリも管理したい」など利用する目的を明確にします。そのうえで、現場の意見も取り入れながらMDMツールを選定し、適切なバランスで運用を開始するとよいでしょう。
サポート体制を確認しておく
MDMの初期導入はもちろん、アフターフォローがどこまで受けられるかどうかも確認しておきましょう。初期設定や運用方法についてのサポートが充実していると、スムーズに導入を進められます。また、導入後の定期的なサポートやアップデートの提供、トラブルが発生した際に速やかに相談・対応してもらえるかが重要です。メールだけでなく電話での問い合わせができることが理想で、24時間365日のサポートが提供されていると安心です。
導入に手間や環境の見直しが必要になることがある
MDMを導入するには、単なるツールの導入ではなく、既存の業務体制や環境を見直す必要があります。全体的なシステムの見直しにより時間とコストがかかることに注意しましょう。
既存の端末の管理体制の把握や企業セキュリティポリシーの見直し、社員への運用ルールの周知やセキュリティ教育など段階を踏むことが大切です。ライセンス費用やメンテナンス費用、周知のためのコストなども総合的に見積もりましょう。
MDM導入で適切な端末の一元管理を!
適正な端末管理をしていないと、多くのリスクやトラブルに巻き込まれる可能性があります。MDMを導入してシステム上で一元管理することが望ましいでしょう。導入には多くのメリットがありますが、注意点も把握し目的に合ったツールを選びましょう。
EMM(エンタープライズモビリティ管理)は、MDM(モバイルデバイス管理)だけでなくMAM(モバイルアプリケーション管理)・MCM(モバイルコンテンツ管理)を加えた3つの機能で構成され、モバイル、アプリ、コンテンツを総合的に管理できるツールです。
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