BYODとは、従業員が個人で所有する端末を業務で使用する利用形態のことです。コスト削減や業務効率の向上につながる一方で、セキュリティリスクが懸念されます。本記事では、BYODのメリット・デメリットについて詳しく解説するとともに、導入のポイントやセキュリティ対策についても説明します。
公開:2025.01.15 / 更新:2025.01.15
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BYODとは
BYOD(Bring Your Own Device)は、従業員が個人所有の端末を業務で利用することを指します。高性能なモバイル端末の普及により、個人で手軽に高機能な端末を所有できるようになったことが、BYODが広がる背景の1つです。2022年のデータでは、世帯のモバイル端末の保有割合は97%に達しました。また、クラウドサービスの普及により、端末の種類を問わず業務情報にアクセスしやすくなっています。
従業員の使い慣れた端末を業務に利用することで、操作がスムーズになり業務効率が向上します。しかし、日本でのBYOD普及率は約10%とまだ低いのが現状です。企業は、BYODの利点を理解し、安全かつ効果的に利用できる環境を整えることが求められています。
BYODのメリット
企業がBYODを導入するメリットには上記のようなものが挙げられます。1つずつ詳しく解説します。
生産性や業務効率が向上する
BYODにより生産性や業務効率向上を図れます。
従業員が日頃使い慣れている端末を利用することで、従業員の業務パフォーマンス向上が期待できるためです。これによりヘルプデスクへの問い合わせが減少し、サポート業務の負担も軽減されるでしょう。
また、従業員は、スキマ時間や外出時の移動時間に業務を進めることができるため、時間の有効活用ができます。ワークライフバランスも改善し、従業員満足度の向上も期待できるでしょう。
端末購入・維持費用の削減になる
BYODの最大のメリットは、企業側の端末購入・維持費用の削減になることです。
BYODでは、従業員所有の端末を利用するため、企業側の端末購入費がかかりません。
特に、テレワーク導入時など、従業員一人ひとりに端末を用意すると多額のコストがかかりますが、BYODを採用することでその負担を軽減できます。
さらに、通信費も全額を企業が負担する必要がないことも利点です。故障時の修理費や新入社員や中途入社時の端末手配にかかる費用も、基本的に従業員の負担となります。従業員が多い企業ほど、これらのコスト削減効果は大きくなるでしょう。
シャドーITの抑制になる
BYOD導入で、端末を適切に管理でき企業内の「シャドーIT」を抑制できます。
シャドーITとは、企業が把握せず従業員が独自に業務に使用するIT機器やサービスのことで、セキュリティリスクを高める要因です。従業員が端末使用時にウィルス感染したことに気づかないまま業務に使用してウィルス攻撃を受けたり、紛失により情報漏洩したりする危険性があります。
BYODを導入することで、企業は従業員が使用する端末機器を公式に認め、管理下に置くことが可能です。これにより従業員のシャドーITを抑制でき、企業内のセキュリティリスク低減につながります。
BYODのデメリット
一方、BYODには注意すべき点もあります。主に上記のようなものが挙げられます。
セキュリティリスクが高まる
BYODの導入では、個人の端末が利用されるため、セキュリティリスクが高まる恐れがあります。
例えば、従業員が業務外など会社の想定しない場で端末を利用することで、不正アクセスを受ける可能性があります。スマートフォンでは近年マルウェアが多く発見されました。端末の紛失や盗難のリスクも高く、情報漏洩に注意が必要です。
また、従業員が企業データを故意に持ち出すリスクも助長される可能性があり、これらのりスクへの対策が求められます。
労務管理が複雑になる
労務管理が複雑になることも代表的なデメリットとして挙げられます。
従業員が個人の端末を使用して業務を行うことで、公私の線引きが難しくなり、従業員の労働状況を把握しにくくなります。従業員の移動中や自宅で業務を行うことが増えると、どこまで労働時間とするかも問題です。この結果、企業が管理できないところで長時間労働が起こる可能性もあり、労務管理の課題となっています。
また、従業員の端末を利用するため、携帯料金の業務利用とプライベート利用での精算処理の問題も発生します。この精算のルールをきちんと策定する必要があるでしょう。
運用やセキュリティ教育の負担が増える
BYODの導入にあたっては、運用やセキュリティ教育の負担が増加します。
BYODのセキュリティリスクは低くないため、新しく導入する際には新たに運用ルールを策定する必要があります。具体的には、従業員の端末における利用環境や費用負担の取り決めなどです。
運用ルールを策定した後、従業員へのルールの周知やセキュリティ意識向上のための研修が不可欠です。これにはコストや労力が加わるため、慎重な計画と実行が必要でしょう。
BYOD導入のポイント
デメリットやリスクを踏まえ、BYODを導入する際には上記のようなポイントに注意しましょう。1つずつ詳しく解説します。
セキュリティ対策を行う
BYOD導入の際のポイントとしてはまず、効果的なセキュリティ対策が挙げられます。
具体的な対策として、「MDM(モバイル端末管理)」と「VDI(デスクトップ仮想化)」の導入が有効です。
MDMは、企業が従業員のスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのモバイルデバイスを一元管理するための仕組みです。紛失・盗難時のリモート制御やアプリの遠隔制限、監視を行います。VDIは、仮想デスクトップ環境を提供する仕組みで、紛失時でもログインパスワードが漏れなければ内部情報へのアクセスはできません。
これらを導入し、システム面でのセキュリティ対策を強化することが求められます。
社内ガイドラインや運用ルールを取り決める
BYOD導入時の人為的なセキュリティリスクを軽減するために、社内ガイドラインや運用ルールを取り決めることも大切です。
ガイドライン作成時には、利用する端末の範囲や用途を明記しましょう。運用ルールを明確にして従業員に順守を求めることがBYOD導入の成功につながります。
ただし、ルールを厳しくしすぎると従業員の利便性を損なう恐れがあります。ガイドラインはわかりやすくシンプルにし、運用が円滑になるものを目指しましょう。
従業員にセキュリティリスクの教育をする
セキュリティ意識向上のためには、従業員教育も不可欠です。
BYODの導入は、従業員の個人端末を利用するため、企業の情報システムに対するセキュリティリスクが懸念されます。定期的な研修やワークショップなどを通じて、会社のセキュリティポリシーを理解してもらうことが重要です。
さらに、個人端末から会社情報にアクセスできることを意識し、「パスワードを厳重に管理する」「顧客データを個人端末上に保存しない」などの対策を徹底することが求められます。
BYOD導入の際はポイントを押さえ、安全な運用体制を!
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員が個人所有の端末を業務で使用することを指します。BYODには、メリットとデメリットがあり、導入時にはトラブルを防ぐためポイントを押さえておくことが重要です。特にセキュリティ関連は情報漏洩など大きな問題につながりかねないため、細心の注意を払いましょう。
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