リモートワイプとは?機能や仕組み、メリット・デメリットも解説

リモートワイプは、紛失や盗難時に、リモート操作で端末内のデータを削除する機能です。
本記事では、リモートワイプの目的や仕組みについて詳しく解説します。メリットやデメリット・注意点、リモートロックやローカルロックとの違いについても説明しています。

公開:2025.09.04 / 更新:2025.09.04

  • 読了目安時間は約10分です。

リモートワイプとは?

リモートワイプは、ノートパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末に保存されているデータを遠隔操作で削除する機能です。デバイスの紛失時や盗難時に機密情報の漏洩を防ぐために機能します。ここでは、リモートロック、ローカルワイプとの違いについて解説します。

リモートロックとの違い

リモートロックは、持ち運び可能なモバイルデバイスを、通信回線を通じて遠隔指示でロックする機能です。これにより、デバイスの操作ができない状態にし、第三者による不正操作を防ぎます。ただし、データは削除されないため、端末をロック解除すれば再び使用可能です。
一方、リモートワイプは、保存されたデータを遠隔で完全に削除し、端末を工場出荷時の状態に戻す機能です。これらの機能は、端末の紛失や盗難時に情報の漏洩を防ぐ効果があります。
リモートロックでは、データが残りロック解除後に再度端末が使用可能になる点が、データが消滅するリモートワイプとの大きな違いです。

ローカルワイプとの違い

ローカルワイプは、モバイルデバイスの利用者が認証やロック解除を一定回数間違えると、デバイス内のデータが自動的に削除される機能です。これは、デバイスの紛失や盗難時に、不正アクセスが試みられた場合に備えて、即座にデータを保護するための手段として設計されています。
リモートワイプとの大きな違いは、操作ミスが継続した時に自動発動し初期化される点です。また、ローカルワイプは、インターネット接続がなくてもデータを削除できるため、盗難時の安全性が高まります。
ただし、通常の使用中に誤操作でデータが削除される可能性があるため注意が必要です。

リモートワイプの目的

リモートワイプの目的

リモートワイプの第一の目的は、紛失や盗難が発生した際に、端末内のデータを削除して情報漏洩を防ぐことです。これにより、端末が悪意のある第三者の手に渡っても、重要な情報が漏洩するリスクを回避できます。

端末には、顧客情報、機密性の高い情報などが保存してある場合もあり、この情報が漏洩すると、大きな問題に発展する可能性があります。さらに、悪意ある第三者が端末から社内ネットワークに侵入し、内部データが盗まれる可能性も否定できません。

事前にリモートワイプを導入することで、事前に発生しうるリスクを回避・軽減できます。この機能は、企業や個人が持つデータの安全性を確保し、予期せぬ事態に備えるための重要な対策といえます。

リモートワイプの仕組み

リモートワイプ機能の実行には、端末にMDM(モバイルデバイス管理)やEMM(エンタープライズモビリティ管理)などの管理サービスと紐づいていることが必要です。社用端末が紛失したり盗まれたりした場合、こうしたシステムを導入しておくとで、管理者側が素早くリモートワイプで対処することができるようになります。

具体的には、管理者が管理サーバを介してデータ削除命令を発信し、その命令が端末に届くとデータ削除が実行されます。データが削除されると、端末は工場出荷時の初期状態に戻ります。ただし、データ削除後は、その端末の位置情報を追跡できなくなるので注意しましょう。

削除が完了すると、シャープのLINC Biz emmの管理画面上で初期化の進行状況が確認できるのでリセットが行われたことが確認できます。

リモートワイプのメリット

リモートワイプのメリット

リモートワイプを利用するメリットには、上記のようなものが挙げられます。1つずつ詳しく解説します。

情報漏洩の防止になる

情報漏洩を防ぐためには、リモートワイプが効果的です。紛失や盗難時にすぐにデータを削除することで、重要な情報の漏洩を防ぎます。リモートワークや外出時など、出先でうっかりトラブルは起こることもあります。このような、万が一の事態に備えられるのがメリットです。
また、年々企業の個人情報の漏洩・紛失事故が増加傾向にあります。リモートワイプを導入しておくことで、社内データのセキュリティ精度が高く維持でき、総務省のコンプライアンスを順守することにもつながります。

参照元:総務省|テレワークによるセキュリティ確保
(URL:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/telework/

  • ※シャープ外サイトのコンテンツが開きます

任意のタイミングで操作できる

リモートワイプ機能を使用すると、管理者の任意のタイミングでデータ削除の操作ができます。端末が手元になくても、インターネットを経由して実行可能です。これにより、明確に紛失や盗難が確認された場合だけでなく、管理者の判断で必要時にも迅速にデータを削除でき、大切な情報を守ることができます。
また、管理者の判断した時点で削除できるので、誤ってデータを削除してしまうリスクを軽減することにつながります。

デバイス管理を効率化できる

企業では、従業員がそれぞれ社用デバイスを持つケースが増え、管理負担が大きくなっています。リモートワイプ機能を導入することで、これらの端末の一元管理が可能になり、デバイス管理が効率化されます。
EMM(MDM)により、管理者は各デバイスの状態をリアルタイムで把握することが可能です。端末の紛失・盗難時にもリモートでデータ消去ができ、手間や運用コストの削減につながります。このように管理者の負担が大幅に軽減でき、全体的な管理効率が向上するでしょう。

リモートワイプのデメリット・注意点

リモートワイプは、デバイス内のデータを遠隔で削除できる優れた機能ですが、上記のようなデメリットや注意点があります。主なデメリット・注意点について解説します。

ネット環境がなければ操作できない

リモートワイプを実行するには、対象の端末がインターネット接続されてないと利用できません。
そのため、端末の電源がオフになっていたり、電波の届かない場所にあったりするとリモートワイプが実行できません。ネット環境以外でも利用可能な対策との併用を検討しましょう。
また、普段からデバイスの所在を確認しておくことも有効です。

作動したかどうか確認ができない

一般的にリモートワイプは、インターネット回線を通じて遠隔操作によって行われるため、確実に端末でデータ初期化がされたかどうか確認できません。シャープのLINC Biz emmはネットワーク接続状況や端末の状況が管理画面上で確認できるので、端末でデータの初期化がされたか確認ができます。 セキュリティを高めるためにローカルワイプを設定しておき、緊急時にはリモートワイプを使うことが望ましいでしょう。

重要なデータが消えてしまうことがある

リモートワイプにより、端末のデータがすべて削除され初期化されます。誤ってリモートワイプを実行した場合、重要なデータや個人情報が完全に消えてしまう可能性があります。
端末の中のデータの復元は、一度削除すると不可能です。日頃から、定期的なバックアップやセキュリティポリシーの策定などで対策しておくことが重要です。

EMM(MDM)を導入するならリモートワイプを利用できて緊急の対応も安心

MDM(モバイルデバイス管理)やEMM(エンタープライズモビリティ管理)は、企業のデバイス管理を効率化し、セキュリティを強化するためのソリューションです。特に、リモートワイプ機能は、デバイスが紛失や盗難に遭った際、機密データを不正アクセスから守るために重要です。
また、単にデータを削除するだけではなく、常にデバイスの所在を把握し、アクセス制御する機能も備えています。

「LINC Biz emm」は、シャープが提供する法人向けモバイル端末管理ソリューションです。このサービスは、一般的なモバイルデバイス管理(MDM)の進化系として、業務用のAndroid™端末を安全に管理します。リモートワイプ機能による紛失時の即時データ削除だけでなく、端末のロックやデータ保護、アプリの一括導入など企業のセキュリティニーズに応えています。

リモートワイプ機能でセキュリティ対策を万全にしましょう

リモートワイプは、モバイル端末に保存されたデータを盗難や紛失時に遠隔操作により削除する機能です。リモートワイプには、データ漏洩を防ぐメリットがありますが、重要なデータが消える可能性もあるため注意が必要です。その特徴や仕組みを理解し、必要に応じて導入を検討するとよいでしょう。

シャープの「LINC Biz emm」は、社員用のモバイル端末を簡単かつ柔軟に一元管理できるシステムです。操作が、直感的でわかりやすく、簡単に社員用端末の機能制限や設定を行うことができます。
また、端末が紛失した際には遠隔操作でデータを削除できるリモートワイプ機能を備え、情報漏洩を防ぐためのセキュリティ面での管理におすすめです。効率的な端末管理に興味のある方は、ぜひ以下から気楽にお問い合わせください。