EMMとは?MDM・MAMとの違いや導入の注意点・選び方も徹底解説

EMM(エンタープライズモビリティ管理)は、企業が使用するモバイルデバイスを総合的に管理するシステムです。EMMを導入するには、特徴やメリット・デメリットを理解し、自社に効率的に活かすことが大切です。本記事では、EMMの構成要素や選び方のポイントについて詳しく解説します。

公開:2025.01.15 / 更新:2025.01.15

  • 読了目安時間は約10分です。

EMMとは

EMMとは

EMM(Enterprise Mobility Management)とは、エンタープライズモビリティ管理の略称で、スマートデバイスを社内で総合的に管理することを指します。
IT化の進展により、社内でスマートフォンなどのモバイル端末を使用する企業が増加し、業務情報の管理が不可欠になりました。EMMツールを導入することで、社内のモバイル機器のセキュリティ対策や機器管理を一括で行えます。

EMMの主な機能には、「端末の使用機能の有効化や制限」「データ保護」「Wi-Fi接続やアプリの制限」などがあります。EMMにより提供される機能や対応デバイスは異なるため、自社の目的を明確にしたうえで、対応する製品を選ぶことが重要です。

EMMの構成要素

EMMは、MDM(モバイルデバイス管理)、MAM(モバイルアプリケーション管理)、MCM(モバイルコンテンツ管理)の3つの要素で構成されています。それぞれの機能について詳しく解説します。

MDM

MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)とは、企業が従業員の業務で使用するスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのモバイルデバイスを一元管理するための仕組みです。
アプリケーションの一括配信や、紛失時の遠隔ロックを行えます。リモートによる制御およびアプリの利用制限・監視機能を持ち、外出先でスマートフォンを紛失した場合でも、遠隔操作でデータ削除やロックが可能です。デバイス管理・運用の効率化や不正利用防止、盗難・紛失対策に最適です。

MAM

MAM(Mobile Application Management:モバイルアプリケーション管理)は、企業がスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイス内のアプリケーションを効率的に管理し、セキュリティを強化するための仕組みです。
MAMは、デバイス内の業務用アプリケーションのみ管理し、業務データの漏洩を防ぎます。業務に必要なアプリケーションを個人データと切り離して管理することが可能なため、業務用と私用のアプリやデータの混同を防止します。
結果として、企業情報のセキュリティが強化されるとともに、個人のプライバシーの保護も可能です。

MCM

MCM(Mobile Contents Management:モバイルコンテンツ管理)は、モバイルデバイス内の文書・画像・音声・動画などのコンテンツを効率的に管理するための仕組みです。
BYOD(個人の端末を業務に使う利用形態)などをご利用の際、業務に必要なコンテンツのみ個人データと切り離して管理することが可能です。個人端末を使用する際、特定の業務データへのアクセス制限を掛けられるため、セキュリティを確保する役目を果たします。
MCMによって、企業の重要情報や知的財産などのコンテンツを安全に保管できます。

EMM導入のメリット

EMMの導入による主なメリットには上記のようなものが挙げられます。1つずつ、詳しく解説します。

盗難や紛失時のセキュリティ対策になる

EMMは、モバイルデバイスの盗難や紛失時のセキュリティ対策として有効です。持ち運びしやすいモバイルデバイスだからこそ、盗難や紛失によるセキュリティリスクが高くなります。しかし、EMMを導入することで、遠隔操作でデバイスのロックやデータ削除が可能になり、セキュリティ対策に役立ちます。

また、EMMは、企業が定めたセキュリティポリシーを適用することで、不正なアプリケーションのインストールやデータの持ち出しを防ぎ、強固なデータ保護が可能です。

不正利用を制御できる

EMMは、企業のモバイルアプリを一括管理することで、不正利用を制御できるシステムです。例えば、モバイルデバイスで不正なアプリなどをダウンロードすると、ハッキングが発生する可能性があります。EMMを導入することで、使用できるアプリやデータに制限をかけられるため、業務に必要なアプリだけ使用できるようにし、不正なアプリの使用を防ぎます。

また、業務に必要ないアプリの制限や、デバイスへの侵入の危険性を阻止するためのBluetooth機能の無効化など、細かい設定も可能です。

個人端末で仕事ができる

近年、リモートワークが普及し、自宅や外出先から個人端末での仕事をする機会が増えています。そのため、社内でのモバイルデバイスの貸与も進んでおり、モバイルデバイスを一元管理できるEMMが重要な役割を果たしています。EMMを導入することで、従業員のデバイスの状態を遠隔で常に把握でき、必要に応じて設定を変えたりデータを消去したりすることが可能です。
EMMによって、個人端末での業務の安全を確保しつつ、業務効率を向上させられるといえます。

EMMの注意点・デメリット

EMMの注意点・デメリット

EMMの導入において、上記のような注意点やデメリットも押さえておく必要があります。

導入にコストがかかる

EMMの導入や、それに伴うシステムやネットワーク体制の見直しにはコストがかかります。状況により新しくシステムやネットワークを構築し直す場合、さらにコストが増すこともあるでしょう。
導入時だけでなく、運用や保守にかかる費用も考慮しなければなりません。これには、システムのアップデート、サポート費用が含まれます。EMMの導入を検討する際は、導入する目的を明確にし、自社に適した効率の良いEMMを選ぶことでコスト削減が可能でしょう。

導入に手間や環境の見直しが必要

EMMを導入する際には、既存のシステムや業務プロセスの見直しが必要です。特に、全社的に導入する場合はネットワークの再構築が必要なため、新たなシステムの浸透には時間と手間がかかるでしょう。
また、システム環境の見直しだけでなく、情報管理ルールを定めたセキュリティポリシーも見直す必要があります。

さらに、管理側だけでなく、デバイスを使用する従業員への安全面などの説明や教育も重要です。EMMを導入しても従業員のセキュリティ意識が低いとリスクが高まるため、導入の目的をしっかり説明し理解と納得を得ることが大切です。

シャープが提供する「LINC Biz emm」ならEMM導入にともなう手間やコスト、環境の見直しといったお悩みを解決できます。直感的な操作性と高いセキュリティ性により、効率的なモバイル端末管理を実現します。

EMMの選び方

EMMを導入する際、どのような製品を選べばいいか迷うのではないでしょうか。次に、EMMの選び方を説明します。

管理や運用に無理がないか

EMMを選ぶ際は、管理や運用に無理がないか確認することが重要です。BYODなど自社のモバイル利用状況や必要な機能のニーズに柔軟に対応できなければなりません。
例えば、導入時に従業員へアンケートを行い、運用時に無理が生じないかを細やかに確認します。
また、複雑な操作が必要であれば管理に時間と労力が大きくかかるため、業務効率が下がります。管理者が使いやすいかどうかも重要なポイントです。

使用しているデバイスやOSに対応しているか

EMMが自社で使用しているデバイスやOSに対応しているかを確認しましょう。企業ではさまざまなデバイスを使用するため、どの範囲まで適合するか確かめる必要があります。
また、WindowsやMac、iPhone、Androidなど複数のプラットフォームに対応しているEMMを選ぶことで、従業員が使用する多様な端末の一元管理が可能です。BYODに対応しているか考慮する必要もあります。
これにより、セキュリティを確保しつつ業務の効率化を図れます。

サポート体制が整っているか

EMMの不具合は業務に直結するため、サポート体制が整っているかどうかが重要です。メールだけでなく、電話サポートもあると 即時対応してもらえて安心でしょう。
運用中だけでなく、導入時に手厚いサポートがあるかどうかも確認しておきましょう。サポート体制が整っていても社内のリソースが不足している場合は、外部への運用委託も検討しましょう。サポート体制が整っているEMMを選択することで、企業のモバイルデバイス管理をより効率的かつ安全に行えます。

EMMを導入して、モバイルデバイスを安全に一元管理しよう

EMM(Enterprise Mobility Management)を導入することで、情報漏洩対策や機能設定、アプリ管理をより簡単に行えます。企業でモバイルデバイスを管理する際におすすめです。EMMのメリットには、セキュリティ強化や業務効率向上があり、デメリットにはコスト増加や導入の手間が挙げられます。
EMMを選ぶ際は、対応デバイスやサポート体制をしっかり確認しましょう。

シャープの「LINC Biz emm」は、企業のモバイルデバイス管理に最適なEMM導入サービスを提供します。3ステップの簡単な操作と高いセキュリティ性が特徴で、スマホメーカーならではのきめ細やかなカスタマイズ対応が可能です。
アプリの一括配信、紛失時の遠隔ロックなどに対応するだけでなく、大量のモバイル端末を安全に遠隔で管理できます。強力なサポート体制で、企業の業務効率化とセキュリティ強化に大きく貢献します。