スマホ紛失対策完全ガイド!企業が社用スマホ管理で押さえるべき6ステップ

社用スマホの紛失は、情報漏洩や信用低下など企業にとって大きなリスクにつながります。本記事では、万が一の際に備えた初動対応や事前設定、社員教育まで、企業が押さえるべきスマホ紛失対策の6つのステップをわかりやすく解説。セキュリティ強化を図るうえで効果的なMDMの活用方法についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。


公開:2025.12.09 / 更新:2025.12.10

  • 読了目安時間は約10分です。

社用スマホの紛失が企業にもたらすリスク

社用スマホは、業務上の機密情報や個人情報を多く含む重要な端末です。万が一紛失した場合、その影響は従業員個人だけでなく、企業全体に及ぶ可能性があります。ここでは、社用スマホの紛失によって企業が直面する主なリスクを解説します。

情報漏洩による不正利用・アクセスのリスク

社用スマホには、取引先の連絡先、社内資料、業務用アプリなどが保存されていることが一般的です。パスコードロックが設定されていない、もしくは簡易的なロックのみの場合、不正アクセスやデータの持ち出しが発生する恐れがあるでしょう。また、社内ネットワークやクラウドサービスへのログイン情報が保存されていれば、さらなる情報漏洩につながるリスクも高まります。

企業イメージ・信用を損なうリスク

社用スマホから情報が漏洩した場合、直接的な被害がなかったとしても、その事実が取引先や顧客、あるいは報道を通じて公になるケースが多いです。たとえ実害がなくても、「管理がずさんな会社」という印象を与えかねません。一度失われた信用を取り戻すのは容易ではなく、取引停止や顧客離れなどの影響が生じるケースもあります。

社員が社用スマホを紛失した時に取るべき初動対応6ステップ

社用スマホを紛失した際は、情報漏洩リスクや信頼を損なうリスクを最小限に抑えるため、迅速かつ適切な対応が不可欠です。企業として取るべき初動対応を6つのステップに分けて解説します。

ステップ1.社員へ迅速に状況確認を行う

まず行うべきは、スマホを紛失した社員への連絡と状況のヒアリングです。スマホが使用できない状態のため、PCのメールや社内チャットツール、内線、もしくは対面で確認しましょう。

確認すべき内容としては、「最後にスマホを使用した日時・場所」「紛失に気づいた状況」「ロックの有無」などです。状況をできるだけ早く把握することで、以降の対応方針がスムーズになります。社員自身が焦っているケースも多いため、丁寧かつ迅速なヒアリングを心がけましょう。

また、MDMを導入していれば、管理者が遠隔から即座にロックすることで被害の拡大を防ぐことが可能です。

ステップ2.デバイスもしくはMDMの機能で位置情報を確認する

次に、スマホの現在地を把握するために、MDMや端末の「端末を探す」機能を活用します。Android端末であれば「スマートフォンを探す」、iPhoneであれば「iPhoneを探す」といった標準機能が利用可能です。

また、MDMを導入していれば、管理者が遠隔から位置情報を取得でき、地図上で端末の場所を特定できます。紛失なのか盗難なのかを判断する手がかりになるので、第三者の不正使用リスクへの備えとしても有効です。

ステップ3.キャリアへ相談し、モバイル通信を停止する

スマホの物理的な位置が不明なままの状態が続く場合は、契約している通信キャリアへ連絡し、対象端末のモバイル回線を一時停止してもらいましょう。これにより、第三者による不正利用や高額請求のリスクを回避できます。

あわせて、オプションサービスで端末の通話履歴やデータ通信の状況が確認できる場合は、異常な通信が発生していないかもチェックしましょう。企業契約の場合は法人窓口があるため、迅速な手続きが可能です。

ステップ4.デバイスもしくはMDMの機能で必要に応じてデータを消去する

発見・回収の見込みが立たない、あるいは社外秘の情報が含まれていると判断された場合には、スマホのデータを遠隔で初期化(リモートワイプ)します。MDMを導入していれば、管理画面からワンクリックで初期化指示を出すことができ、被害拡大を防げます。

事前に端末側のリモート操作設定や、アカウント連携(Google・Apple IDなど)を済ませておくことで、よりスムーズな対応が可能になります。セキュリティポリシーに沿った判断基準を日頃から社内で定めておくとよいでしょう。

ステップ5.警察へ紛失届けを提出する

公共交通機関や飲食店などの公共スペースでスマホを紛失した場合、あるいは盗難の疑いがある場合には、速やかに警察へ届け出を行います。遺失物届または盗難届の受理番号は、キャリアの手続きや社内報告で必要になるケースがあります。

また、警察に届け出ておくことで、第三者による悪用時に証拠として活用できる可能性があります。提出時はスマホの製造番号(IMEI)や特徴などを控えておくと、特定しやすいでしょう。

ステップ6.被害状況と影響範囲を確認のうえ社内報告する

最終的に、紛失によってどのような情報が失われたか、またどの範囲の業務・関係者に影響を与える可能性があるかを整理します。スマホに保存されていた情報、アクセス可能な社内システム、業務用アプリの範囲などを確認し、リスクを可視化しましょう。

整理した情報は、所属部署の責任者や情報システム部門、セキュリティ担当に正確に報告し、必要に応じて対外的な対応や社内の再発防止策の検討を進めます。こうした一連の流れをルール化しておくと、次回以降の対応も迅速に行えるでしょう。

スマホ紛失対策として知っておきたい事前設定・対応

社用スマホの紛失によるリスクを最小限に抑えるためには、いざという時のための事前対策も欠かせません。個別に対応するのではなく、企業としてルールや設定を一括管理できる仕組みを整えておくことが大切です。

ここでは、紛失リスクに備えるうえで企業が押さえておきたい主な設定や運用ポイントを紹介します。

パスコードロック設定

スマホ紛失時に最初の防御線となるのが、パスコードによるロックです。

業務用スマホの場合、個人の設定に委ねるのではなく、企業側で一括制御することが望ましいでしょう。パスコードの桁数や英数字の組み合わせ、有効期限の設定などをルール化し、社員が一定の基準を満たすよう管理しましょう。入力ミスの回数制限や一定回数以上の失敗時に自動でロックがかかる設定も有効です。

位置情報の追跡設定

紛失したスマホを素早く見つけ出すためには、位置情報の追跡設定が不可欠です。事前に設定しておくことで、万が一の紛失時でも最後に確認された場所を特定することができます。

スマホのOS標準機能で備わっているほか、アプリや管理ツールを使えば、管理者が遠隔でスマホの現在地や最終通信履歴を確認することも可能です。

遠隔データ消去設定

スマホが第三者の手に渡った場合でも、遠隔でデータ消去できる仕組み(リモートワイプ)を用意しておくことで、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。

操作には事前の設定が必要なため、社用スマホはすべて、遠隔消去機能を有効にして運用することが望ましいです。加えて、クラウド上に保存されているデータへのアクセス制限もあわせて行えると安心でしょう。

定期的なバックアップ

スマホを紛失すると、端末そのものだけでなく、業務に関する重要なデータも失われるリスクがあります。万が一の事態に備えて、業務データは定期的にバックアップを取得しておきましょう。
バックアップはクラウドや社内サーバーなど、安全性の高い場所に保存し、管理者が復元手順を把握しておくことも重要です。

MDMの導入

上記すべての対策を企業全体で効率よく実施するためには、MDMの導入がおすすめ。端末ごとに設定や管理を行うのは限界があるため、MDMを用いて一元的に制御することで、人的ミスの被害を最小限に抑え、セキュリティレベルを高水準で保つことができます。

たとえばシャープの「LINC Biz emm」では、以下のようなより高度な設定・対応が行えます。

パスコードロック ・パスワードの文字数、大文字・小文字・英数字の組み合わせ、有効期間、入力可能回数などを細かく制御可能
・入力ミスが一定回数を超えた場合に端末を自動初期化する設定も可能
位置情報の追跡 ・最新の通信時点での位置情報を確認する機能が標準搭載
・最大7日間分の位置履歴も追跡可能(有償オプション)
遠隔データ消去 ・管理画面から遠隔で端末ロック、初期化が可能

スマホの台数が多くなるほど、MDMの導入効果は高まります。企業の規模や運用ポリシーに合ったMDMを選定し、全社的なセキュリティ強化を実現しましょう。

企業におけるスマホ紛失予防策と教育のポイント

スマホの紛失をゼロにすることは難しいですが、企業としての取り組み次第でリスクは大幅に抑えられます。

物理的な管理体制だけでなく、社員へのルール周知やセキュリティ意識の醸成、継続的な教育が重要です。ここでは、スマホ紛失の予防に向けて企業が実施すべき施策や教育のポイントを解説します。

社用スマホの利用ルール・罰則を作成のうえ連携する

まず前提として、社用スマホの扱いに関する明確なルールを策定しておきましょう。最低限、私的利用の範囲や持ち出し制限、業務中の利用マナーなどについては具体的なガイドラインを定めておくと安心です。あわせて、紛失・盗難時の報告義務や、悪質・重大な過失に対する罰則についても明記しておくと、社員の危機意識を高める効果があるでしょう。

また、ルールは単に定めるだけでなく、配布資料やイントラ上で共有し、誰もがいつでも確認できるようにしておくことが重要です。

情報セキュリティ研修を実施する

制度やルールだけでなく、社員のセキュリティ意識を高める教育の場も設ける必要があります。特にスマホは日常的に使われるツールのため、つい油断して使用してしまいやすいといえます。

セキュリティ研修では、以下のような観点を盛り込むと効果的です。

  • ・スマホ紛失時のリスクや実際の事例紹介
  • ・紛失した場合の正しい初動対応
  • ・MDMや遠隔ロック・データ消去の仕組み
  • ・不正アクセスを防ぐ基本設定や操作

IT部門だけでなく、すべてのスマホ利用者が対象となるようにし、全社的な意識の底上げを目指しましょう。

セキュリティに関する 定期的なリマインド・啓発活動をする

研修を一度実施するだけでは、時間の経過とともに意識が薄れてしまいます。そこで、定期的なリマインドや啓発活動を通じて、継続的な注意喚起を行うことが重要です。

具体的には、以下のような方法があります。

  • ・月1回の社内掲示板やメルマガでの注意喚起
  • ・MDMの定期点検にあわせたルール再確認の通知
  • ・実際に起きたトラブル事例の社内共有
  • ・チェックリストによる自己点検の実施

こうしたアプローチにより、セキュリティ対策を自分ごと化して捉えてもらいやすくなり、組織全体での対策レベルが維持されます。

万が一に備えるスマホ紛失対策で企業リスクを最小限に

社用スマホの紛失は、情報漏洩や信用失墜など、企業にとって深刻なリスクをもたらします。万が一の際に迅速な対応ができるよう、日頃からパスコードの設定やバックアップ、遠隔操作などの対策を講じておくことが重要です。また、社員教育や利用ルールの徹底もリスク低減に直結します。

こうした対策を確実に実施するには、MDMの活用が有効です。シャープが提供する「LINC Biz emm」は、遠隔ロック・初期化、位置追跡、パスコード設定などの機能を備え、直感的な操作でスマホの安全管理を支援します。無料トライアルも可能なため、ぜひスマホ紛失対策の一つとしてご検討ください。