デジタルサイネージとは?仕組みや導入方法、導入にかかる費用や注意点も解説

デジタルサイネージとは、ディスプレイなどを用いて情報発信するシステムのことです。映像や音声を利用して、製品紹介やキャンペーン情報などを効率的に発信できます。本記事では、デジタルサイネージの仕組みや種類、活用事例を解説します。安価で導入が簡単なデジタルサイネージについても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

公開:2025.03.18 / 更新:2025.03.18

  • 読了目安時間は約10分です。

デジタルサイネージとは?

デジタルサイネージとは?

デジタルサイネージとは、ディスプレイなどの映像装置を用いて情報を発信するシステムのことです。従来は主に駅で見られましたが、最近では店舗やオフィスなどの公共空間にも設置されるようになってきています。
デジタルサイネージを導入することで、よりタイムリーかつ手軽に情報発信が可能となりました。紙のポスターなどでは不可能な、動きのある映像や音で訴求できることが最大の魅力です。

また、デジタルサイネージはマーケティングの観点からも注目されています。広告やプロモーションを行う際に、新しいコミュニケーションツールとして活用されることが増えてきています。
たとえば、店舗ではセール情報や新商品の紹介をリアルタイムで行うことができ、オフィスでは社内のお知らせやイベント情報を手軽に共有することができます。ターゲット層に合わせて、情報更新できるため、柔軟なマーケティング戦略の展開が可能といえます。

デジタルサイネージの仕組みと種類

デジタルサイネージには、大きく分けて2つの種類があります。1つずつ詳しく説明します。

スタンドアロン型

スタンドアロン型のデジタルサイネージは、コンテンツをUSBメモリやSDカードに書き込み、直接ディスプレイに差し込んで表示します。ディスプレイに内蔵されたメディアプレイヤーを使用するため、ムービーをループ再生や静止画の表示に適しています。プレイヤーが内蔵されていないディスプレイの場合、STBを設置してUSBを挿します。
また、スタンドアロン型は、設置が容易で運用コストがかかりません。インターネット接続が不要なため、オフライン環境でも利用できます。

ただし、端末ごとにコンテンツを手動で更新する必要があり、多くのディスプレイがある場合は、データの入れ替え時に手間がかかる点がデメリットといえます。

ネットワーク型(オンプレミス型・クラウド型)

ネットワーク型のデジタルサイネージは、サイネージ機器自体をネットワーク通信できるようにし、有線LANやWi-Fiなどを通じて表示します。ディスプレイを直接操作しなくても、遠隔でコンテンツを更新し一括管理ができるため、運用効率が向上します。
これには、専用サーバを使う「オンプレミス型」と、クラウド環境上にコンテンツを置き配信する「クラウド型」の2種類があります。
近年注目されているのはクラウド型で、より手軽なコンテンツの差し替えや更新が可能です。オンプレミス型のように、専用サーバ設置の手間がかからないという点がメリットでしょう。

一方で、クラウドシステムやネット利用の費用が発生する点がデメリットといえます。

デジタルサイネージを活用するメリット

デジタルサイネージは、最新の技術を利用して多くの情報を伝える手段として、上記のように多くのメリットがあります。

ターゲットに合わせた柔軟なアプローチができる

デジタルサイネージは、ターゲットに合わせた柔軟なアプローチができる点が大きなメリットでしょう。特定の時間帯や場所に合わせてコンテンツを変更・出し分けすることができるため、効果的に情報発信ができます。

また、視聴者の属性や行動に応じてコンテンツを調整し、効果的な情報発信とコミュニケーションを実現します。たとえば、駅で通勤時間帯にはビジネスマンをターゲットにした広告を表示し、昼食時には駅周辺の飲食店情報を発信できます。
さらに、多言語対応することで訪日外国人への情報発信や災害時の緊急伝達など幅広いアプローチが可能です。

差し替えの手間がかからない

デジタルサイネージは、看板やポスターのような差し替えの手間がなく、インターネット接続やUSBを通じて瞬時に新しいコンテンツに切り替えられます。そのため、従来の印刷代から設置代、撤去代などのコストを抑えることが可能です。

特に、クラウド型を活用することで、システム導入やコンテンツ配信の手間を軽減し、管理コストの削減も期待できます。
デジタルサイネージは、初期コストは必要ですが、中長期的に見るとコストや手間の削減に最適な選択肢といえるでしょう。

リアルタイムの情報発信・更新ができる

デジタルサイネージは、インターネットを介してリアルタイムの情報発信や更新が可能です。これにより、新商品やイベントの案内やセール情報まで、最新情報をタイムリーに発信できます。更新もすぐにできるため、季節や状況に応じたリアルタイム情報が発信しやすく、効果的かつ効率的なマーケティングを行えます。

また、災害時や緊急時には、迅速に情報を更新し、必要なアナウンスを発信して顧客の安全性を確保することも可能です。

動画コンテンツでユーザーを引き付けられる

デジタルサイネージでは、印象的な動画コンテンツを表示し、ユーザーを引き付けられます。動画は、静止画に比べて多くの情報を発信でき、商品やサービスの詳細を具体的に伝えることが可能です。
動画は動きがあるため視認効果が高く、暗い環境でも目立ちます。そのため、多くの人の目を引き宣伝や広告の効果が向上します。
また、動画と音声を組み合わせることで、ユーザーの興味をさらに引き付け、より深い印象を与えることができるのもメリットです。

デジタルサイネージの活用事例

デジタルサイネージの活用事例

デジタルサイネージは、公共機関や商業施設などで幅広く活用されています。次に、業種別の活用事例を紹介します。

公共交通機関

公共交通機関では近年、従来の駅構内のポスターや看板が、デジタルサイネージに置き替わっています。デジタルサイネージは、運行情報や周辺案内などタイムリーな情報を提供し、乗客がスムーズに移動でき、待機時間を有効に使えるようサポートします。
また、緊急の災害情報を迅速に発信し、顧客の安全性を確保できることが強みです。
さらに、駅構内の店舗の商品やサービス情報を発信する広告媒体としても活用され、情報提供と広告収入の両面から役立っています。

自治体

自治体のデジタルサイネージ活用は、役所の利便性の向上や観光情報の発信、災害時の緊急情報配信など多岐にわたります。自治体の役所は多くの部署があり、訪問者にとって分かりにくい場合がありますが、エントランスや待合所にデジタルサイネージを設置することで、フロアマップや業際サービスの情報を提供しています。
また、リアルタイムで緊急情報を迅速に伝えることができるメリットがあります。さらに、地域の魅力をPRするためのツールとしても活用可能です。

商業施設

デジタルサイネージは、商業施設において広告や販促情報など多様な目的で活用されています。商業施設内の案内となるフロアマップやキャンペーン情報を発信することで、顧客の利便性を高めます。
店舗数が多いほど店舗が見つけにくいため、インタラクティブなデジタルサイネージが効果的です。エントランスや通路などの導線上に設置することで、訪問者が求めている情報を得やすくなります。
また、イベントに合わせたコンテンツ配信を行うことで、マーケティングにも役立っています。

飲食店

飲食店では、時間帯や季節に応じたメニューの訴求に、デジタルサイネージが活用されています。メニューは頻繁に変わることが多いため、デジタルサイネージを使うことで印刷費や設置のコスト、手間を抑えることができます。
また、動きのある映像でシズル感のある商品訴求が可能となり、より効果的にメニューやキャンペーン情報をアピールできます。
さらに、紙のポスターと比べ、更新が簡単で顧客のニーズの変化にも迅速に対応できるのが利点です。

医療機関

医療機関では主に、病院の待合室などでデジタルサイネージが活用されています。デジタルサイネージでは、整理番号の案内や検査についての情報が提供され、患者はスムーズに順番を確認し、検査の流れも把握しやすくなります。
従来の紙のポスターなら1つの治療プランしか紹介できず、詳細な説明が困難ですが、デジタルサイネージなら、1枚のディスプレイで複数の医療プランの案内が可能です。これにより、コンパクトなスペースで効率的に情報を提供できます。

デジタルサイネージの導入方法

デジタルサイネージを導入するには、どのようなステップを踏めばいいのか迷う方もいるでしょう。上記、5つのステップについて1つずつ詳しく解説します。

1.課題分析(ターゲット、目的等決定)

デジタルサイネージ導入においては、まず課題を分析することが重要です。どのようにデジタルサイネージを活用するのか目的や目標、ターゲットを設定します。
たとえば、ブランド認知力や集客の向上、コスト削減などです。この部分が不明確だと、効果的なマーケティング戦略が立てられず、曖昧なものになってしまいます。
具体的な目的や目標、ターゲットをしっかりと定めることで、デジタルサイネージを最大限に活用することが可能です。

2.サイネージ活用設計

課題分析で明確になった要件を満たすため、どのようにサイネージを活用すれば目的達成につながるかを検討します。目的やターゲットに応じて、適切な種類のディスプレイをどこに設置するかを設計することが必要です。
たとえば、視認性や滞在時間も考慮し設置場所を決めます。また、屋外なら防塵・防水機能や輝度を考慮して適切なディスプレイを選定します。その上で、コンテンツの更新頻度や導入台数も事前に決めておきましょう。

3.コンテンツ設計と制作

デジタルサイネージの活用法が決まったら、どんなコンテンツを流すのかを設計します。想定するターゲットが興味を持ち、行動を促せるコンテンツを考える必要があるでしょう。また、適切なコンテンツの長さや形式(静止画・動画)などを決定します。
コンテンツ設計は、自社で制作するケースもあれば、専門の制作会社に外注する方法もあります。自社制作ならコスト削減につながりますが、専門の制作会社なら高品質な仕上がりが期待できます。自社のニーズに応じて適切な制作方法をとることが大切です。

4.運用設計

デジタルサイネージのコンテンツを作成した後は、どのように運用を進めていくかを具体的に検討する必要があります。中には店舗スタッフが自ら操作するケースもあり、操作が簡単であることが求められます。
また、各コンテンツに応じた更新方法やメンテナンス方法も事前に設計しておくことで、スムーズな運用が可能です。たとえば、定期的なメンテナンススケジュールを立て、更新手順を明確にすることで、運用中のトラブルを減らすことができます。

5.システム導入~運用開始

デジタルサイネージを実際に導入し、運用を開始します。運用後もコンテンツの動向を観察し、より適切な内容に更新・管理することが重要です。
また、運用管理を適切に行うためには定期的なメンテナンスが不可欠です。システムトラブル時には迅速な対応が求められるため、保守やサポートを事前に手配しておくとよいでしょう。トラブル時のサポート体制が整っている業者を選ぶことで、問題が素早く解決されスムーズな運用が可能になります。

デジタルサイネージの導入にかかる価格

デジタルサイネージの導入方法

デジタルサイネージの導入には「初期(導入)コスト」と「運用コスト」がかかります。あくまで参考程度にですが、初期コストの相場は以下の通りです。

  • ・屋内用ディスプレイ:10~40万円
  • ・屋外用ディスプレイ:50~300万円(※大型やタッチパネル搭載のものはさらに高額になります。)
  • ・再生用USBメモリ:1,000~3,000円
  • ・再生用STB:3~25万円
  • ・管理用CMSシステム:数千円~1万円/月

屋内用と屋外用では価格も異なり、屋外用は防水・防塵設計が必要なので高くなる傾向があります。
運用コストにはコンテンツ企画・制作、メンテナンス費が含まれます。制作頻度やクオリティによってコストに大きく差があり、2~50万円程度かかります。事前に運用計画を立て、予算に合わせた運用をすることが重要です。初期費用と運用コストを考慮して計画的に導入・運用しましょう。

デジタルサイネージを導入する際の注意点

デジタルサイネージを導入する際には、上記のようなポイントを考慮する必要があります。

初期費用がかかる

デジタルサイネージの導入には初期費用がかかり、看板やポスターよりも高額になることが多いです。専用設備の費用や設置のための工事費も考慮する必要があります。加えて、コンテンツ制作のコストも発生します。
しかし、運用上の手間は少ないため、訴求効果や手間などを従来の紙ポスターと比較して導入を検討するとよいでしょう。
また、導入時には、必要な機器やサービスを比較検討し、予算を明確にしておくことが大切です。

コストに対する効果測定がしづらい

デジタルサイネージの効果測定は難しい面があります。不特定多数が見るため、どれだけの売上や集客に繋がったか測定しづらいためです。スタッフを現場に配置して観察することも可能ですが、手間やコストがかかります。
AIによる映像解析機能を備えたデジタルサイネージを使用する方法も考えられます。クラウド上のAIにより、視聴者数を計測・集計し、視聴者の性別や年齢なども解析します。
解析結果をもとに、視聴者の属性に合わせてコンテンツを最適化し、マーケティングに生かすことが可能です。

故障することがある

デジタルサイネージは電子機器であるため、故障する可能性も少なからず考えられます。屋内であれば、人がぶつかることがあり、屋外では太陽や雨風が原因で故障するケースもあります。
設置する際には、場所や人通りなど環境に合ったスペックの機器を選ぶことが大切です。また、極端な温度変化や特殊な環境下にある場所は避けた方がよいでしょう。
故障時には業者に修理を依頼しても復旧に時間がかかることもあるため、事前に適切な対策を考慮しておくことが大切です。故障リスクを考慮した、適切な設置と定期的なメンテナンスが求められます。

操作方法の習得に時間がかかる

デジタルサイネージの管理運用には、具体的な操作や運用方法を覚える必要があるため、実際に運用できるまで時間がかかることもあります。運用担当者だけでなく、万が一の事態に備えて他のスタッフにも操作方法を伝えておくことも不可欠です。操作マニュアルやサポート体制が充実しているかも確認すべきポイントです。
また、管理や運用を自社スタッフではなく、外部の専門スタッフに依頼する方法もあります。これにより、スムーズな導入と運用が可能になり、自社スタッフの負担を軽減し、トラブル時の迅速な対応が期待できるでしょう。

安全な場所に設置する

デジタルサイネージを設置する際は、見てもらいやすい場所を選ぶと同時に、安全性や災害対策も考慮して設置場所を選ぶことが重要です。視認性が高いからといって、無理な場所に設置すると事故につながりかねません。
たとえば、強風や地震の多い場所では、強度のある壁面などにしっかり固定することが求められます。通行人に危害が及ばないように配慮することも大切です。専門業者に相談し、安全かつ効果的な場所に取り付けを進めましょう。

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コストを抑え効果的なデジタルサイネージを導入しましょう

デジタルサイネージは、視認性が高く効率的な情報発信に便利なツールの1つです。大型施設や駅だけでなく、小さな店舗や病院にも導入が進んでいます。より効果的な広告訴求を実現したい場合は、導入を検討しましょう。

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