MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)の移行には、事前準備やスケジュール設計、セキュリティ対策など多くの準備と配慮が求められます。本記事では、移行を検討する主な理由から、スムーズに進めるための具体的な6つのステップまでをわかりやすく解説します。初めてMDM移行を担当する方でも進めやすいよう、各工程のチェックポイントや注意点も丁寧に整理しているので、ぜひ最後までご覧ください。
公開:2025.10.24 / 更新:2025.10.24
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MDMは移行可能!よくある乗り換え理由は?
MDMは一度導入したら終わりではなく、運用する中で他社サービスへの移行を検討するケースも少なくありません。よくある乗り換え理由には、「必要な機能が不足している」「管理画面が複雑で使いにくい」「トラブル時のサポートが遅い」「コストが高い割に効果が感じられない」などがあります。また、企業の成長にともない管理対象の端末台数が増えたことで、より柔軟で拡張性のあるMDMへの移行を決断するケースもあります。
近年では移行支援を行うサービスも増えており、より自社に合ったMDMへ乗り換えることはめずらしいことではありません。
MDM移行を成功させる6つのステップ
MDMの移行をスムーズに行うためには、あらかじめ手順を整理し、段階的に準備を進めることが大切です。ここでは、トラブルなく新しいMDMへ移行するための6つのステップをご紹介します。特に、移行時に見落とされがちなポイントも含めて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Step1.現行MDMの利用状況を把握する
移行を検討する際は、まず現在のMDMがどのように活用されているかを把握することが第一歩です。管理している端末数や設定内容、アプリ配信の状況、使っている機能の範囲などを整理しておくことで、新しいMDMに必要な条件が見えてきます。導入当初から運用が変わっているケースも多いため、現時点の利用状況を正確に確認しましょう。
- ・現在の端末台数と利用状況をリストアップする
- ・適用中のMDMの設定ルールや設定項目を洗い出す
- ・配布済みのアプリと使用状況を確認する
- ・管理者が使っている操作フローを把握する
- ・機能の使用頻度・必要性を整理する
<確認ポイント>
Step2.新しいMDMの調査・比較検討を行う
現行の課題や不足している機能が明確になったら、それを解決できる新しいMDMを比較検討しましょう。よくある乗り換え理由としては、前述の通り、「使いづらい」「機能が不足している」「サポートが弱い」「費用対効果が低い」などが挙げられます。自社に合ったツールを選ぶには、使いやすさ・サポート・導入のしやすさといった観点から複数のサービスを比べることが大切です。
- ・現行MDMの不満点・課題を明確にする
- ・検討候補のMDMを複数ピックアップする
- ・操作性や機能のわかりやすさを確認する
- ・サポート体制や導入支援の有無を確認する
- ・コストと機能のバランスを比較検討する
- ・無料トライアルやデモを試用する
<確認ポイント>
Step3.MDMの移行タイミングを検討する
MDM移行時は端末の操作が一時的に制限されることもあるため、スケジュール設定は慎重に行いましょう。繁忙期を避け、業務への影響が少ない時期を選ぶのが理想です。台数が多い場合や不安がある場合は、一部の部署から試験的に導入するのもおすすめ。スムーズな移行のためには、社内関係者との調整も忘れずに行ってください。
- ・社内の繁忙期や業務イベントと重ならない時期を確認する
- ・テスト導入・段階的移行の要否を検討する
- ・社内関係者とのスケジュール調整を行う
- ・想定作業時間と必要な人員を確認する
- ・社員への事前アナウンス・マニュアル整備を検討する
<確認ポイント>
Step4.MDM移行予定のデバイスのデータを初期化する
端末に移行前のMDMの設定が残っていると、新しいMDMが正常に機能しないことがあります。そのため、移行前には端末を初期化するのが一般的です。初期化前には必ず業務データや設定のバックアップを取りましょう。
移行先のMDMによっては初期化が不要なケースもあるので、事前に端末とサービスの仕様を確認しておくと安心です。
- ・初期化対象の端末をリスト化する
- ・対象端末のバックアップを取得済みであることを確認する
- ・初期化手順と注意点を把握する
- ・旧MDMのプロファイルや制限の削除方法を確認する
- ・初期化による影響を社内に周知する
<確認ポイント>
Step5.現行MDMの登録を解除し、新しいMDMを登録する
初期化が完了した端末に対し、旧MDMの登録を解除し、新しいMDMを設定します。ゼロタッチやQRコードなど、登録を簡素化できる手段を活用することで、複数台の端末を効率的に登録できるでしょう。この段階であらかじめ設定しておいたポリシーやアプリが問題なく適用されているかもしっかり確認しましょう。
<確認ポイント>
- ・旧MDMの登録解除手順を把握する
- ・新MDMへの登録方法(QR、ゼロタッチ等)を確認する
- ・テスト端末で動作確認を行う
- ・設定ポリシーやアプリが正しく反映されていることを確認する
- ・登録作業の手順をマニュアル化する
Step6.バックアップデータをデバイスに復元する
新しいMDMへの登録が完了したら、事前に取得しておいたバックアップデータを各端末に復元します。これにより、移行後もユーザーは従来通りの環境で業務を再開できます。復元後はアプリの動作や設定に不備がないかを確認し、必要に応じて微調整を行うと安心です。
- ・バックアップデータの保管先を確認する
- ・復元対象のファイル・設定を明確にする
- ・アプリや設定が問題なく復元されているか確認する
- ・必要に応じて復元後の最終調整を行う
- ・業務再開に支障がないか、ユーザー確認を行う
<確認ポイント>
MDM移行をスムーズに進めるコツ
MDMの乗り換えは、端末管理の効率化やセキュリティ強化を実現する一方で、適切な準備や段取りが求められます。特に、移行時に社内の混乱やセキュリティリスクを招かないためには、事前の計画と社内共有が欠かせません。ここでは、移行作業を円滑に進めるために押さえておきたい5つのコツをご紹介します。新旧MDMの違いや社内への影響も踏まえて、慎重に進めましょう。
機種変更も同時に行うか検討しておく
MDMを移行する際は、あわせて端末の機種変更も視野に入れると効率的です。特に、新たに導入するMDMが特定のOSに最適化されている場合は、端末のOS選定も重要なポイントになります。
古い端末では新しいMDMの一部機能が使えないケースもあるため、対応OSや端末のスペックを踏まえ、機種変更のタイミングも含めて総合的に判断しましょう。
現行MDMと新しいMDMの機能差を事前に確認しておく
MDMはツールごとにできることが異なるため、乗り換え前に機能の差異を正確に把握しておくことが重要です。たとえば、アプリの配信方法、遠隔操作の柔軟性、ログ管理の詳細さなどは特に差が出やすいポイントです。新しいMDMで代替できない機能があると、運用に支障が出る可能性もあるため、導入前に各機能の有無や運用フローへの影響を必ず確認しておきましょう。
デバイスの初期化や必要な対応について事前に通知しておく
MDM移行に際しては、端末の初期化やアプリの再設定が必要になることがあります。これらの作業は工数がかさみ、社員の手を煩わせる可能性があるため、あらかじめ社内周知しておくことがスムーズな移行につながります。スケジュールや必要な作業内容、注意点を事前に伝え、混乱を防ぎましょう。FAQや簡単なマニュアルを用意しておくのも効果的です。
業務への影響を想定したスケジュールを設計する
MDMの移行作業は業務端末に直接関わるため、タイミングを誤ると業務に支障をきたすおそれがあります。業務負荷が低い時期を選ぶことはもちろん、部署やチームごとに段階的に進めるなど、影響を最小限に抑えるスケジュールを検討しましょう。社内イベントや繁忙期との重複を避け、余裕をもった工程設計がスムーズな移行の鍵です。
移行期間にセキュリティの空白期間が生まれないよう注意する
旧MDMから新MDMに切り替える際、一時的にセキュリティ設定が適用されていない状態が生まれるリスクがあります。この「空白期間」に端末の盗難や不正アクセスが起きると重大な情報漏洩につながりかねません。移行手順を事前に整理し、必要最小限の時間で切り替えを行うこと、または一時的に代替措置を講じることが重要です。
後悔しないMDM移行のために現状の課題と次の一手を見極めよう
MDMの移行は、現行ツールの課題を解消し、端末管理の質を高めるチャンスです。「操作性に不満がある」「サポートが手薄」「必要な機能がない」といった理由で乗り換えを検討する企業は少なくありませんが、移行には一定の手間やコストがかかるため、入念な準備と比較検討が欠かせません。
MDM移行時は、現在の利用状況を正しく把握し、移行時期や初期化対応などを明確にしておくことで、社内混乱やセキュリティの空白期間を防ぐことができます。
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