長距離のお出かけがためらわれる昨今、リモートワークによる運動不足を解消するためにも、近所をお散歩する人が増えているのでは? でも、いざ近所を歩いてみると、昔からあるのに見逃していた面白い形のビルやかわいい看板に出会ったり、新たな発見がたくさんありますよね。そんな古い建築の面白さを発信しているのが能町みね子さん。能町さんのInstagramには、古いのに新しさも感じさせるような素敵な建築の写真がずらりと並んでいます。今回は、古い建築を撮影するために全国各地を散歩しているという能町さんのお散歩に同行して、古い建築を味わうポイントを教えていただきました。能町さん自らがAQUOS R6で撮影した写真も大公開!(※撮影した写真は一部加工しています)
能町みね子
1979年生まれ。エッセイスト、イラストレーター。著書に『結婚の奴』(平凡社)、『そのへんをどのように受け止めてらっしゃるか』(文春文庫)など。『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジテレビ)など、テレビやラジオでも活躍している。『散歩の達人』の『東京リアルストリートビュー』、TVブロスnote版『猫のつまらない話』など連載も多数。
今日は能町さんから古い建築の魅力を学ぶため、御徒町周辺を一緒にお散歩します。
御徒町周辺は上野・浅草にも程近く、江戸時代には久保田藩(秋田藩)が屋敷を構えて賑わっていた町で、城主の佐竹氏の名前が今も佐竹商店街などに残っています。ちなみに、佐竹商店街は日本で2番目に古い商店街と言われていて、明治31年に商店街組合を結成したんだそう。
「このあたりは初めて来ました。佐竹商店街にも行ってみたいと思っていたので、楽しみです」という能町さん。出発してすぐに、「窓のサッシが細いのは古いビルですね」と言いながら、スマホで撮影をしていきます。「見ただけで建築された年代がなんとなくわかりますね。ちゃんと勉強したわけではないので、当たってるかどうかわからないんですけど」。
このあたりには古いビルや能町さん好みのトタン作りのお家が多く、能町さんも次々とカメラに収めていきます。「トタンの建物に惹かれるのは、ちゃんと劣化してくれるから。逆にサイディング材っていうタイルっぽい外壁は苦手で。トタンのように、ちゃんと生活してきたんだっていうことがわかるのがいいんですよね」。
さらに進んでいくと、かわいい看板のビルとおしゃれな理容室に遭遇。能町さんも「筍、なめこ、ふき」と読み上げながら、アングルを変えて何枚も撮影します。
「何枚も写真を撮っちゃったくらい好きです。隣の酒井もすごくいいんですよ。2階のフェンスもそうだし、青とえんじ色のタイル張りの入り口もかわいくて。3階がペントハウスみたいになってるのもおしゃれです。美容室や理容室はおしゃれな建物が多くて特に好きなので、よく撮っています」。
能町さんが思わず駆け出してしまうほど盛り上がった、今日のベスト建築がこれ。窓の外に無理やり(?)作られた室外機置き場がズラッと並ぶ独特な外観に目を奪われます。
「室外機がすごいっていう話なんですけど、ここの魅力はそれだけじゃなくて。人間の営みによって汚れていったことで生まれた生活感が好きなんです。室外機置き場に洗濯物を干している感じとか、このごちゃごちゃした雰囲気は意図して作れないじゃないですか。生命力を感じますよね。1階のガラスブロックも階段の手すりもすごくよくて、たくさん撮ってしまいました」。
ここまでで相当盛り上がってしまった一行でしたが、ようやく本日のメインイベントである佐竹商店街に到着。
しばらく行くと、かわいらしい看板の甘味処を発見。しかし、シャッターには残念ながら2月に閉店したとの張り紙が。
「ここは入ってみたかったですよね。こういうテント地で作られた庇や看板などを、装飾テント、略して『装テン』って呼んでいて、『装テン』を撮影して集めている人もいるんです」。
佐竹商店街を抜け、今日の散歩はここで終了。心惹かれる建物が多かったのか、予定時間をオーバーしてのお散歩となりました。
続いては、今日のお散歩を振り返りながら、能町流散歩の極意に迫ります!
――改めて、御徒町周辺を散歩されてみていかがでしたか?
能町みね子(以下、能町):ずっと佐竹商店街には来てみたいとは思っていたんですけど、意外と佐竹商店街以外のところに掘り出し物が多かったですね。こんなに素敵な建築がたくさんあるなんて、穴場でした。
――能町さんはいつ頃から古い建築をめぐる散歩がお好きだったんですか?
能町:最初は自分が住んでいた町から始まって、中学高校生くらいの時には、暇な日に自転車で近所、といっても片道30〜40分くらいの場所まで行ったりしてました。当時はカメラも持っていなかったので、ただただ変わった建物を見て帰ってくるという。誰に報告するでも、記録するでもなく。
――本格的に古い建築を探して散歩するようになったのはいつ頃からですか?
能町:社会人になってからかもしれないです。『散歩の達人』っていう雑誌が好きで、そこの出版社に入ったんです。編集部の配属にならなかったんですけど、散歩好きな同期がいて。同士ができたので、漠然とおもしろい建物を見にいくんじゃなくて、古い町を探して行ったりするようになりました。その頃から歴史とかも気にするようになって。大きなデジカメも持っていたんですけど、荷物になるから、これぞっていう時にしか撮っていませんでした。
――能町さんがお散歩に行くときの必須アイテムはなんですか?
能町:結局、今はカメラもスマホのカメラしか使ってなくて。地図も入ってるし、スマホで全部済んじゃうんですよね。
――今日はAQUOS R6を使っていただきましたが、スマホのカメラへのこだわりはありますか?
能町:カメラアプリなどを導入しようかと思ったこともあったんですけど、やっぱり慣れなくて、一番シンプルな普通のカメラを使っています。でも、私のスマホだと、あんまり広角で撮れなくて。私が撮影したいような建物って狭い路地にあることが多いので、建物の左右を画角に収めようと思っても、後ろに下がれないから難しいんです。このカメラは広角で撮れるし、画質もいいのか、外壁のテクスチャーまでしっかり写っていていいなと思いました。
――能町さんが今日グッときた建物の魅力を教えてください。
能町:これもすごく良かったですね。左右対称でキレイなんですよ。この看板もかわいいし。
能町:店のジャンルがよくわからないお店の写真を集めてるんです。あんまり聞いたことのない“なんとか店”があると撮っちゃう。『モスリン店』って、見慣れなくていいですね。香川では『ゴム履物店』、山梨では『帽子とおもちゃ店』、広島で『うば車店』っていうのを見たことがあります。
能町:下の木枠のガラス戸もすごいんですけど、2階の窓が素晴らしいです。サッシも細いので、相当古いと思います。何気に看板の『グリーンライト グリーンフォーム特約店』って言うのも意味がわからないですよね。当時は、みんなが聞いてわかる言葉だったのかなぁ。
能町:カアフェドスナックっていうカタカナの揺れも好きです。カフェーとかはちょいちょいありますけど、カアフェは初めて見ました。
能町:昔の喫茶店ってガラスに花柄とかついてることありますよね。黒っぽいガラスもいい感じです。洋菓子屋さんが喫茶室を横につけるパターンって、今はあんまりないと思うんですけど、たまに見つけると嬉しくなるんですよね。
――能町さんが今まで行ってみたなかで、印象に残っている町はありますか?
能町:最近でいうと、広島が大好きですね。路面電車がある町が好きなんですけど、建物も古いものがたくさん残ってますし、中心部はまだそんなに再開発されてない感じで。あと、大阪も好きです。場所にもよるんですけど、大阪の街並みは東京とは一味違うなと思っていて。なんか密集度が違うんですよ、大阪ってぎゅうぎゅうで。それに、東京の古い建物ってなんか申し訳なさそうに見えるんですけど、大阪は「どかせるもんなら、どかしてみろや」くらいの感じで堂々としてる。町の空気感がよかったのは水戸です。寂れてるから古い建物が残っているんじゃなくて、適度に建物が入れ替わっていて、ちゃんと今を生きてる感じがするっていう。
――古い建築に興味がある人におすすめの場所や町はありますか?
能町:本当は自分で見つけるべきだとは思うんですけど、ちょっと専門的な話になりますが、昭和初期とか戦前にすでに「町」だった場所は絶対に当たりです。市町村の「町」だったところ。そういうところは商店街も密集してるんです。今は大合併で、どこも「市」になっちゃってるのでわかりにくいんですけど、昭和初期はほとんどの場所が「村」で。当時から「町」だったところは、だいたい今の「市」の中心部になっています。今の「市」の中で、昔から「町」だった場所にあたりをつけて行きますね。
――具体的にはどうやって調べるんですか?
能町:まずはGoogleマップで家の形を調べます。どんどん拡大していくと、家の形までわかるので。キレイな長方形の区画が並んでいる地域は明らかに後から開発したところです。例えば、市の名前と同じ名前の小学校があるあたりは古い町であることが多いんですけど、そういう情報を頼りに探していくと、道路に対して間口が狭くて奥行きがある、いわゆるウナギの寝床式の建物が並んでいるところがあって。そこが古い商店街です。
――すごい調査能力です!
能町:調べること自体好きなので、苦ではないんですけど、最近はGoogleマップを使いすぎて、お気に入りの星の数が異常なことになってきてしまって。仕事に飽きた時とか、Googleマップで行ったことのない町を散策して、行ってみたい喫茶店をチェックするんです。いつかは行けるかもと思って、ピンを打つんですけど、それがとんでもない数になっちゃって。3000以上あるので、すごい気持ち悪いことになってるんです(笑)。
――こんな画面初めて見ました!
能町:そうですよね。本当は死ぬまでに日本のすべての町に行きたいっていう野望があるんですけど、現実的には厳しいかなと思うと、ちょっと残念ですね。47都道府県は全部一応踏破してるんですけど、それなりの大きさの町に全部行きたくて。難しいかもしれないですけど、すごく大きな野望です。
能町さんとお散歩をしてみると、いままで単に「古いビルだな」とだけ思って通り過ぎていた街並みに、たくさんの魅力が詰まっていることを再発見することができました。工法や素材が進化した現代ではあまり見られなくなってしまった窓枠などのユニークなディテールや、作られた当時のおしゃれ心がふんだんに詰め込まれた看板などを見ると、作り手のもっと素敵にしたいという意気込みが感じられてグッとくるものがありました。
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自分の住む町の新たな魅力を見つけられそうです。
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