各通信事業者のオンライン専用新料金プラン「ahamo」「povo」「LINEMO」など、月20GBのプランが相次いで発表されました。しかし、スマートフォン(以下、スマホ)の月20GBってどうなの? と思っている人も多いはず。コロナ禍の中、Wi-Fi環境の整っているオフィス内や、定着しつつあるリモートワークの環境下では、月に20GBも使わないという人がほとんどかもしれません。
しかしその一方、外で働いている人の場合はどうでしょう。
とりわけ常に車内にいるトラックドライバーの方々の場合、果たして20GBで十分なのでしょうか?そもそもトラックドライバーはどういう1日を過ごしていて、どんなアプリを使っているのでしょうか。現役のトラックドライバーに聞いてみました。
橋本愛喜
フリーライター。元工場経営者・日本語教師。父の工場を継ぎ大型免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場へ。現在は日本・アメリカ・韓国を往来しながら、ブルーカラーの人権・労働・ジェンダーに関する問題や、文化差異、災害・環境などの社会問題などを軸に各媒体へ執筆・出演。著書『トラックドライバーにも言わせて』他。
まずは一般的な利用者のデータ通信量を見てみましょう。
スマホ利用者の前月のデータ通信量について分析した結果、「わからない」と回答したユーザーを除いた平均データ通信量は6.94GB(ギガバイト)、中央値は3.00GBとのこと。有効回答のみを対象とした場合、月間通信量は「1GB」29%、「2GB」16.7%、「3GB」13.4%となり、59.2%のユーザーが3GB以下の通信量。「7GB」までの累計では約79.2%ということです。
これらの発表から、一般的にはデータ使用量は7GB以下が多いようです。最近は、コロナウイルスによって定着しつつあるリモートワークで、その使用量はもっと少なくなっているとも予測できます。
しかし一方で、Wi-Fiを使えない環境で働く人たちにとっても今回の「ahamo」「povo」「LINEMO」などの新料金プランで設定されている「20GB」は多いのでしょうか?
今回は、1日中外で働いている、スマホヘビーユーザーであるトラックドライバーに焦点を当てて、1日でどのくらいのデータ使用量を使っているのか聞き取り調査してみました!
今回、SNSを通じてトラックドライバー30人に回答を得た結果、トラックドライバーの平均データ通信量は約58.2GB。中央値は約42.5GBでした。
トラックには、小型・中型・大型という大きさの区分だけでなく、地場輸送から長距離と、走る距離も様々。そのため、例えば小型車での地場配送の場合、一般の利用者と変わらず10GB以下という人も多かったのですが、大型車の長距離輸送では、なんと200GBを超えるという人も複数いました。
どうして長距離輸送のほうが、データ使用量が多いのかというと、それは彼らの生活環境にあります。
トラックは一般的に、長距離になるほど一度にたくさんの荷物を運ぶため、大型車の割合が増えます。その日のうちに自宅に戻れず、時には1週間以上車内で生活することもあるのですが、この大型車には運転席の後ろに寝台がついており、長距離のトラックドライバーは、車中泊をしながら全国を走っているのです。
つまり、彼らにとってトラック車内は、仕事場でもあり、「第二の家」でもあります。コロナの感染拡大によって食堂を避け、食事も車内でとるというドライバーが増えている昨今、車内滞在率はより高くなっています。
そうすると必然的に車内でスマホを使用する機会も多くなるのですが、カフェやレストランのようなフリーWi-Fi環境がありません。そのため、車内にいる時間が長ければ長いほど、トラックドライバーのデータ使用量は、一般よりも多くなるというわけです。
かく言う私も元トラックドライバーでしたが、現在も当時と同じく定位置に座り続け、長時間スマホやパソコンを使用する仕事をしています。時間で言えば、恐らく現役のトラックドライバーより長いかもしれません。が、そのほとんどは屋内。家で働く時間がないライターの仕事はWi-Fi環境が常にあるため、データ使用量は毎月3GB未満です。
一方、長時間外で働くトラックドライバーには、ある特徴があります。それは「2台持ち」と「モバイルWi-Fiルーターの携帯」です。
スマホで動画視聴をすると、SNSや業務連絡などのやりとりに都合がよくありません。そのため、トラックドライバーは大きな画面のタブレットで動画を視聴し、スマホとは別に「モバイルWi-Fiルーター」を携帯している人が多いようです。最近は、データ通信量無制限プランを発表している通信会社もあるので、今後はそちらに移行する人が増えるかもしれません。
もう1つ、トラックドライバーのデータ使用量が一般利用者よりも多くなる要因が「待機時間」です。
実はトラックドライバーは、荷主の元に到着後、荷物を積み降ろしするまでの間、かなり長い間待機する時間があります。数時間から、時には半日以上待たされることも。前のトラックが進んだら自分のクルマも移動させなければならないため、車内から出ることも仮眠を取ることもできないドライバーが時間を潰す手段の代表が「動画視聴」。そのため、トラックドライバーのデータ使用量は必然的に上がるようです。
こうしてガジェットが常にそばにあるトラックドライバーですが、彼らのほとんどが愛用しているのがトラック専用のカーナビアプリ「トラックカーナビ」です。
大型トラックドライバーは、普通のカーナビを使いません。その理由は「車体の大きさ」にあります。トラックの車体はいわずもがな非常に大きく、そして長いです。また、道路には大型車進入が禁止されているところもあります。普通のカーナビは、「普通車」が進入できる道を案内するので、大型トラックドライバーが使用した場合、立ち往生などの原因になってしまうのです。
カーナビの他にも、位置情報アプリや交通情報のアプリなど常に通信をしているものが多いため、データ通信量が増えてしまうのも納得です。
トラックドライバー使用率ナンバーワン!自分のトラックの車体の大きさを登録して道を選んでくれるのが便利&ポイントが貯まって様々なポイントに変換できるのもお得
インターチェンジ、道の駅、県庁所在地など、スタンプラリーのように訪れた場所をコレクションできることと、いつ仲間とすれ違ったかが分かるから。全国を走るドライバーならではのアプリ!
長距離移動するトラックドライバーにとって、高速道路の情報は必須。特に渋滞や通行止め情報は回避するためにもいち早く知れるのがいいですね
3人のトラックドライバーに、もっと詳しく1日の流れから、よく使うアプリなどまでを聞いてみました!
13~18GBくらいです。
第1位:トラックカーナビ
第2位:LINE(グループチャット)
第3位:ハイタッチ!drive
YouTubeですね。
スマホの充電は、DCACアダプターに家庭用充電器で差しっ放しにしています。また、寝る前の自分の時間にタブレットでYouTube、テレビを観ながらスマホで趣味の車の調べ物をしています。
LINEのグループチャット、Twitter(交通情報などをいち早く情報収集するため)。
節約しています。YouTubeなどの動画はなるべくWi-Fi環境のもとで観るようにしています。
橋本
最低、50GBは使っています。
第1位:Twitter
第2位:LINE
第3位:Instagram
ダントツでTwitterです!
常に充電してるので、他の運転手とずっと電話しています。
スマホホルダーの角度を顔に向けているので、子供が幼稚園から帰ってきたら電話がかかってきてビデオ通話なんかもします。
あと、ナビアプリは「トラックカーナビ」を使ってます。
地図を開いて動いていればポイントが貯まって様々なポイントに変換できるので(Tポイント、Pontaポイント、auポイントなどなど)、常にトラックカーナビは起動してます。
やはりトラックカーナビです。
仲の良い運転手と位置共有もできるので、例えば相手が移動していれば電話をします。停まっていたら積み降ろし中か、仮眠をしてると思われるので電話をかけないようにしています。
仲介業者経由の仕事の場合、多いときは5箇所も6箇所も電話しなくてはいけなくなることがあるのですが、番号を登録していない仲介業者にリダイアルで掛けるとき、「あれ?ここかけたっけ?」と訳が分からなくなります。
使い放題なので全くしていません。
橋本
50〜100GBの範囲ですね。
第1位:LINE
第2位:YouTube
第3位:Instagram
断トツでYouTubeです。
ニュースになるような大雪や台風の中を走るときは、ムービーを撮ってグループLINEで状況を共有しています。
目線の移動が少ないハンドル周りのダッシュにスマホを固定し、Bluetoothのイヤホンマイクはメインの他に、予備が2台ありますね。
「トラックカーナビ」このアプリがあるお陰で、紙の地図から解放されました。
Googleマップと違うところは自車のサイズを設定出来るので、大型が通れない道は案内しません。Googleマップや普通のカーナビは、トラックで使うのは不安しかない。
ストリートビューで客先の入り口や、受付の位置を事前にチェックしてから向かうので、スムーズに到着できるのはスマホ様々です。
仕事でメインで使用する山陽道が、Wi-Fiの電波が悪いです。通話中に調べたいことがあっても音声入力が使えない為、停車するまで調べられない。
あとは、スマホの顔認証がマスクしていたら認識しない。
たまに、胸ポケットにスマホを入れたままトラックから降りるとスマホが地面に落下することがあることも……。
荷下ろし中はキャビン(運転席)にスマホを置いているが、そんなときに予定変更の電話が鳴ったり。ガラケーならかさばらないからポケットに入れて置けるのに、と常に思っています。
2020年末まで、Wi-Fiの無制限プラン+1Gのスマホプランで使用していました。LINE、Gmail以外のアプリはWi-Fi環境にないときはバックグラウンドで起動しないように設定していました。
高速道路でWi-Fiの電波が圏外になることが多いため、2021年からはスマホの使い放題プランに変更し、Wi-Fiは解約したため、何も気にせず使えるようになりました。
橋本
今回、お話を聞かせてくださったトラックドライバーの中には、新料金プラン「ahamo」「povo」「LINEMO」に変えた、もしくは変えたいという人はいませんでした。多くは「使い放題プラン」に入っているとのこと。 上の3人のうち2人も使い放題。今後、5Gが普及すれば、アプリもデータ使用量の多いものが出てくると予想されます。 そうすると今後、今以上に使い放題プランの需要は増えるかもしれませんね。
また、こうして1日を通してスマホの使い方を見てみると、トラックドライバーは1人で過ごす時間が非常に長いからこそ、 仲間同士での情報交換アプリを使用して繋がったり、動画視聴などをしたりする時間も多くなることが分かります。
SNSをよく使っているのも、トラックドライバー同士のコミュニケーションのため。 スマホや携帯電話がなかった時代でも、彼らは無線を使って仲間を励まし合っていたので、こうしたスマホ使いは、当然の流れなのかもしれません。
現在コロナ禍で、家で仕事をしている私のようなリモートワーカーたちも、実は「寂しい」という声が上がっているのだとか。 なかなか同僚と会う機会もなく、1日中誰とも話すこともなく業務が終わることもあるそう……。
そんな人たちのために、最後にリモートワーカーにも便利なトラックドライバーたちが使っているという複数で会話ができるツールをご紹介します。 ぜひ参考にしてくださいね。
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